第39話

高校
5,617
2017/11/13 01:51
「やっほーっ!」


「あ、美優。」


1時55分、校門に着くともう既に数人集まっていた。


「わ、あなた久しぶり!

変わってない!

でもちょっと大人になった!」


「わ、沙羅か!

髪短くなってて分かんなかったよ!」


荻野沙羅(おぎのさら)は3年のクラス替えで一緒になった友達。


腰くらいまであるロングヘアだったのに、ショートボブになっててもう誰だかわからない。


「えへへ、彼氏に振られてイメチェンしました!」


「え、別れたの!?」


「うっそぉ、あんなに仲良さげだったのにー!」


他のみんなも会話に加わる。


そーいや、沙羅は大学入ってから彼氏が出来たとか言ってたっけ。


「あなたは?

どんな感じ?」


「へっ!?」


「恋愛状況、どーなのよっ。」


あぁ…。


「相変わらず、フリーだよっ…」


秀也のことが忘れられなくて。


告白してくれる人だっていた。


でも、私の心の中に、頭の中にいるのはいっつも秀也で。


まだ私、秀也のことが好きなんだと思う。


「高校の時はあのイケメン後輩と付き合ってたってのに、大学になって別れちゃうんだもん。

びっくりしたよー?」


「あはは…」


笑って誤魔化すことしか出来ない。


みんなにはどうやって別れたのかは言ってない。


理由を聞かれても答えられないから。


「あ、これで全員揃ったー?

行こっか。」


そう言って私たちは校門を通った。


生徒玄関ではなく、その横の職員玄関から入る。



「わ、なんか違和感ーっ!」


「ウチらスリッパ履いてるよ!?

上履き持ってくればよかったかなぁ?」


「今ちょうど授業中?

静かに行かないとね…」


「職員室いく?」


廊下を歩くと、懐かしい香り。


ここもあそこも、秀也と話したり時にはイチャイチャしたり、思い出の場所。


「一応ギリ3年だけは私らのこと知ってんだよね?」


「そーだね、ウチらが3年の時1年だったもんね。」


「お、お前らっ…」


美優が職員室に入ろうとドアに手をかけたところ、後ろから声がした。


「あっ。

神崎先生…」


「こんにちはっ…」


「あれっ、こんな先生いたっけ?」


沙羅がこそっと私に言う。


するとその声が神崎先生に聞こえてしまったのか、ははっと笑った。


「まぁ、オレは2年の化学の1部を担当してたからね。

オレのこと知らない生徒もいるか。」


沙羅とは2年の時同じクラスじゃないから、知らないのか。


「お久しぶりです。」


一応挨拶をするけど、気まずい。


別れた彼氏の兄…。


「あ!

そーだっ!!!」


神崎先生は急に思い出したように大声を出した。


「あなたさん、ちょっと研究室来てくれない?」


「…え?」

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