第4話

みどり。
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2017/11/06 14:00
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『ともくん』

「どうしたん?」

『身長分けて』

「えぇ?それは難しいお願いやなー」

『背高くなりたいー…』



「ええやん小さくて」って頭に手を乗せる。



『そんなに乗せてたら縮んじゃう』

「縮ませたろか?」

『やーめーて!』



ラグに座る私とソファーに座っているともくん。


手を退けてくれないから、ともくんの頬を摘もうと手を伸ばす。



『うりゃ!』

「うわっ、あはっ、ちょ、やめ!」



器用にそれを避けていく。


何度か摘もうとしても出来ないから膝立ちになって手を伸ばす。



『っと、よしっ!』

「あぁ!はにゃせー」

『へへっ伸びる伸びるー』



やっと摘めて、そのせいで上手く話せない彼が可愛いく思える。


彼の頬で遊んでいると私の頬にも手が伸びてきた。



「スキあり」

『あ、』

「へっへーん」

『はにゃしてよ』

「やだね」

『はにゃせー!』



顔を横にブンブン振ると手が離れた。



『もう、』

「じゃあこっち?」



そう言うと私の腕を掴んで、ともくんの頬から手が離れてしまった。


腕は掴まれたまま、身動きが取れない。



『どうしたの?』

「んー?ふふ」

『なに?』

「イチャイチャしたくなってきたなぁ、て」



こてん、と首を傾げて「あなたはどう?」なんて聞いてくる。


そんなの聞かなくたって分かるくせに。



『んー、どうかな?』

「せえへんの?」

『ぎゅうだけね』

「しゃあないな」



そう言って私を膝の上に乗せる。


ちょっと寒い。



『ともくん寒くない?』

「寒ないよ」

『そっか』

「あなた寒いん?」

『ちょっと寒い』



「んじゃ、こうしよ」ってソファーの横にあるカゴからブランケットを取りだして私にかけてくれた。


ふわふわな生地が首に当たって少しくすぐったい。



『あったかい』

「よかった」



ふにゃりと笑って目尻のしわを深める。


ふと目が合うと離せなくなる。


ともくんの顔がだんだんと近づいてきたけれど、意地悪したくなって避ける。



「あ、なんで避けるん」

『へへっ』

「ちょ、避けんなって」

『ふっ、待って、ねぇ』

「避けんといてって、もう、っんふ」



そんな遊びを何回か繰り返すと、諦めどころが分からない。


今度は私からしてみようと顔を近づけると、ともくんも避けていく。



『ちょ、なんで避けるの』

「ふふっ、待って」

『避けないでよ、ねぇ』

「何なんこれ、あははっ」



腕は掴まれたままだから上手く出来ない。


それを分かっているから弄ばれる。



「ふふっ。ほら、ちゅうしてみ?」



そう言われても出来ない私に、ともくんから甘い口付けが落ちてきた。





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