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『ともくん』
「どうしたん?」
『身長分けて』
「えぇ?それは難しいお願いやなー」
『背高くなりたいー…』
「ええやん小さくて」って頭に手を乗せる。
『そんなに乗せてたら縮んじゃう』
「縮ませたろか?」
『やーめーて!』
ラグに座る私とソファーに座っているともくん。
手を退けてくれないから、ともくんの頬を摘もうと手を伸ばす。
『うりゃ!』
「うわっ、あはっ、ちょ、やめ!」
器用にそれを避けていく。
何度か摘もうとしても出来ないから膝立ちになって手を伸ばす。
『っと、よしっ!』
「あぁ!はにゃせー」
『へへっ伸びる伸びるー』
やっと摘めて、そのせいで上手く話せない彼が可愛いく思える。
彼の頬で遊んでいると私の頬にも手が伸びてきた。
「スキあり」
『あ、』
「へっへーん」
『はにゃしてよ』
「やだね」
『はにゃせー!』
顔を横にブンブン振ると手が離れた。
『もう、』
「じゃあこっち?」
そう言うと私の腕を掴んで、ともくんの頬から手が離れてしまった。
腕は掴まれたまま、身動きが取れない。
『どうしたの?』
「んー?ふふ」
『なに?』
「イチャイチャしたくなってきたなぁ、て」
こてん、と首を傾げて「あなたはどう?」なんて聞いてくる。
そんなの聞かなくたって分かるくせに。
『んー、どうかな?』
「せえへんの?」
『ぎゅうだけね』
「しゃあないな」
そう言って私を膝の上に乗せる。
ちょっと寒い。
『ともくん寒くない?』
「寒ないよ」
『そっか』
「あなた寒いん?」
『ちょっと寒い』
「んじゃ、こうしよ」ってソファーの横にあるカゴからブランケットを取りだして私にかけてくれた。
ふわふわな生地が首に当たって少しくすぐったい。
『あったかい』
「よかった」
ふにゃりと笑って目尻のしわを深める。
ふと目が合うと離せなくなる。
ともくんの顔がだんだんと近づいてきたけれど、意地悪したくなって避ける。
「あ、なんで避けるん」
『へへっ』
「ちょ、避けんなって」
『ふっ、待って、ねぇ』
「避けんといてって、もう、っんふ」
そんな遊びを何回か繰り返すと、諦めどころが分からない。
今度は私からしてみようと顔を近づけると、ともくんも避けていく。
『ちょ、なんで避けるの』
「ふふっ、待って」
『避けないでよ、ねぇ』
「何なんこれ、あははっ」
腕は掴まれたままだから上手く出来ない。
それを分かっているから弄ばれる。
「ふふっ。ほら、ちゅうしてみ?」
そう言われても出来ない私に、ともくんから甘い口付けが落ちてきた。
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編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。