だめだ。
全然当たらない。
財前樹里は、すぐに当てる自信があったのに、殺人ピエロが財前樹里をサポートしているせいで当たらない。
今殺さないと、犠牲が増える。
これ以上、増やしたくない。
それに、まだ、ここに来てない知ってる先輩がいる。
それは、陽向(ひなた)先輩と駿(しゅん)先輩と遥(はるか)先輩だ。
同じ部活の先輩だ。
この先輩達まで犠牲にしたくない。
遥先輩は、クールで冷たく感じるかもだけど、本当は恥ずかしがり屋なだけで、それに優しい人だ。
財前樹里と遥先輩は、元同じ部活だったからか、財前樹里が遥先輩によく話し掛けいるのをよく見た。
でも、遥先輩の反応が、冷たく感じただろう。
だから、財前樹里は、遥先輩は、自分のことを嫌いだと勘違いしているのだろう。
いや、待て。
もしかしたら、もうここに来ているかとしれない。
そして、犠牲になってるかもしれない・・・。
そしたら、最悪だ。
私は、試しに聞いてみた。
『遥先輩ってどうなってるの?仲良かったよね?』
少しの間、沈黙だった。
その後、財前樹里が言った。
『もう、いないわ。』
財前樹里はそう答えた。
『嘘・・・。また、あなた達が殺したの?』
『そうよ。』
財前樹里は、素っ気なく答えた。
その後、私は、もう一度聞いた。
『じゃあ、陽向先輩と駿先輩は?』
『さぁ?』
教えてくれなかった。
でも、返事が遅かった。
まるで、誰かに言われてから、それを真似して言っているようだ。
まぁ、そんなわけないと思うけど・・・。
それとも、財前樹里よりも上の存在がいるのか?
その可能性も有り得なくはない。
『ねぇ、貴方誰かに命令されているよね?』
私は、試しに言ってみた。
『そ、そんなわけないじゃない。私が誰かに支配なんてされないわ。』
明らかに一瞬だったが、動揺していた。
これで、確実になった。
『誰からなの?』
私は、答えてくれるまで聞く事にした。
『だから、私が一番偉いって言ってるじゃない!』
財前樹里の声は、焦っているように思えた。
『嘘だ。貴方は誰かに支配されている。そうよね?』
私は、もう一度、言った。
『違うわ!撤退よ。ピエロ。』
逃げる気だ。
でも、逃がさない。
その時、私は、今までの中で一番速いスピードを出していた。
だから、間に合った。
財前樹里を転ばせることが出来た。
私は、すぐに財前樹里を動けないよう掴んだ。
そして、言った。
『ねぇ、答えてくれる?私は、ここを支配したいの。』
『教えないわ。』
財前樹里は、教えてくれなかった。
『教えてくれるまで離さない。』
私がそう言った後、財前樹里が言った。
『その前に、貴方が死ぬわ。』
私は、なぜそう言ったのか分かっていた。
殺人ピエロが天上にいるからだ。
私は、殺人ピエロが襲ってくることは分かっていた。
だから、襲ってきた瞬間、私は殺人ピエロの攻撃を止めることが出来た。
それに、その後、殺人ピエロの持っていた刃物を奪うことも出来た。
そして、殺人ピエロの腕を切り落とした。
その時、財前樹里は抑えたままだった。
だから、逃げられずに済んだ。
私は、財前樹里が答えるまで離すつもりは無い。
脅してでも、聞き出す。
私は、そう決めた。
汚いやり方だったとしても、私は辞めるつもりは無い。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。