頭では、順番に考えようも思っても、焦ってしまって、考える事が出来なかった。
そして、私が焦っていている時、信じられない事が起こった。
柚希先輩が現れた事だ。
きっと、幻覚だ。
そう分かっていても、見れた事が嬉しくて、涙が出てきた。
私は、すぐに言った。
『柚希先輩!大丈夫ですか?無事でしたか?』
けど、返事は、無かった。
ただ、ただ、笑って私を見ていた。
私は、だんだんとその笑顔が怖く見えてきた。
だから、言ってしまった。
『柚希先輩じゃない・・・。』
そう言っても、笑って私を見ていた。
『もう笑わないでください・・・。怖いです。どうしたんですか?柚希先輩。』
『俺は・・・本・・・笑・・・な・・・。ご・・・め・・・。』
何かを言っていた。
けど、何を言ったのかわからなかった。
『なんですか?』
『本当は・・・笑・・・い・・・・・・な』
まだ、分からない。
『えっとー。本当は、笑いな?ってなんですか?』
『笑い・・・た・・・く・・・な』
私は、もう分かった。
きっと、こう言いたかったはず。
本当は、笑いたくない。
それなら、誰かに、操られていることかな。
いや、そうしか考えられない。
助けなきゃ。
でも、一度死んだ柚希先輩をどうやって、生き返らしたのだろうか?
不思議だった。
それに、柚希先輩も大事だけど、今は、柚希先輩以外の先輩達が優先かもしれない。
そして、その時、殺人ピエロの声がした。
『俺の勝ちだな。お前が探そうとしていた薬は、俺が全て見つけた。もう、お前の大事な先輩達は、助からないぜ。一つは、柚希先輩って呼んでるやつに使わせてもらった。毒を入れてな。もう元には、戻らない。お前の大事な柚希先輩はな。』
その後、殺人ピエロの笑い声が響いた。
私は、怒りMAXになってしまった。
『殺人ピエロ!お前は、殺す!』
その時、だった。
『ピエロ!何をしてるの!?私は、ここまで命令してないわよ。それに、勝手に生き返さないでよね。それに、何あの子を怒らせてんの?あの子は、怒りMAXになると、とんでもないパワーを出すように、機械で設定したでしょうよ?前の仲間にしようとした時に。あの子が怒りMAXになると、再生する壁だって、再生が間に合わないわよ。あの子は、簡単に壁を壊してしまう。』
その瞬間、私は、壁を壊した。
すると、殺人ピエロと財前樹里がいた。
もちろん、私は、すぐに、そっちの方へ向かった。
その時、財前樹里が言った。
『落ち着きなさい!貴方に選択させてあげる。柚希先輩を失うか、柚希先輩以外の先輩達を失うか、どっちがいい?ピエロは、後で私が締めとくから。今は、辞めて!』
その言葉で私は、動きを止めた。
けど、選択出来ない。
どっちも同じぐらい大事な人だから。
なんなら、殺人ピエロも財前樹里もどっちも殺して、薬を奪えば、助かるような気がする。
だから、私は、言った。
『どっちもやだ。だから、殺人ピエロも財前樹里も殺す。』
財前樹里は、怖がっていた。
殺人ピエロも少し怯えてるように見えた。
普段は、強がっているのに、ムカつく。
財前樹里もいつも通りに偉そうにしてればいいのに。
私は、財前樹里と殺人ピエロの方に走っていった。
そして、目の前まで来た時、財前樹里が言った。
『分かった、分かった!どっちも助けるから、殺さないで!ね?』
財前樹里は、凄く焦っていた。
私は、すぐに手を引いた。
『じゃあ早くして。』
私が言った。
私は、信じてみることにした。
それで嘘なら、殺せばいいと思ったから。
財前樹里と殺人ピエロが空き缶に触った。
そして、消えた。
私も、空き缶に触れて、中に戻った。
財前樹里と殺人ピエロが薬を飲ませている。
私は、怪しくて、言った。
『何を飲ませたの?毒入りなの?そうだったら、即死だと思って!』
『違う!普通の薬よ。』
財前樹里が言った。
その時、先輩達が目を覚ました。
『藍ちゃん?無事だった?』
爛先輩が言った。
『はい!爛先輩が目を覚まして、良かったです。』
その後、次々と起きてきた。
華先輩も澪先輩も柚希先輩も綾先輩も優希も皆、元通りになった。
それに、一人増えた。
柚希先輩は、何故か生き返った。
皆、驚いてたけど、私が説明すると、納得してくれた。
それに、嬉しかった。
だから、思わず言ってしまった。
『柚希先輩!生き返ってくれて、ありがとうございます!』
すると、柚希先輩は、少し驚いたようだった。
そして、言ってきた。
『藍ちゃん助けてくれたんだよね?ありがとう。』
私は、はい、と答えた。
私が周りを見渡した時、もう殺人ピエロも財前樹里も居なかった。
私達は、久しぶりたくさん、皆で笑いあった。
それに、柚希先輩は、最初から幻覚じゃなかった事が分かった。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!