首を斬ったっていうのに、まだ、動いてる。
しつこい奴だ。
うざいし、気持ち悪い。
あー、早く死んでよ。
えっ…。
今、私、何て思った?
思ってはダメな事を思ってしまった。
私は、壊れていってる。
やっと、そう気づいた。
嫌だよ。
私は、意地でも壊れない。
お前らと、同じになりたくない。
絶対に。
なりたくないって思ってるなら、ならなきゃいいんだ。
でも、なってしまいそうで怖い。
どうすればいい?
どうすればいいか、分からない。
私は、自分が怖くなった。
自分が自分では、無くなってしまいそうで、とても怖い。
お願い。
壊れないで。
最後までもって!
私は、そう願いながら、戦った。
『や、やめろ!』
敵が言った。
そして、気づいた。
私は、いつの間にか、鉄のような硬いものを手で取り出していた。
私は、とても驚いた。
その後、私は、その鉄ようなものを思いっ切り、床に向かって投げつけた。
壊さなきゃと思ったから。
でも、壊れなかった。
やっぱり、簡単には壊せないか。
私は敵を見てみた。
その瞬間、驚きと恐怖が私を襲った。
敵は、さっきとは違い、血を大量に吹き出していた。
そういうことか。
私は、閃いた。
この鉄のようなものが不死身の原因か、と。
これが無くなれば、出血量が通常通りになるんだ。
それに、心臓が無いと生きていけなくなる。
敵の周りは、もう血がたくさん、溜まっている。
でも、出血は止まらない。
もう見てられない。
私は、視線を逸らしたが、すぐにまた、気になって見てしまった。
敵は、動かなくなっていた。
その時、私は考えた。
これで、私は、何人殺した?
私は、たくさんの人を殺してしまった。
後悔しても、もう遅いところまで来てしまった。
私も、ここで死のうかな。
いっそ、死んだ方が楽のような気がするから。
でも、その時私は、先輩達の願いを思い出した。
ダメだ、まだ死ねないや。
まだ、叶えてないもんな。
願いを叶えてからじゃないと私は、死ねない。
叶えてみせるって、約束したもんね。
よし、頑張ろう。
私は、いつの間にか、自我を完全に取り戻していた。
私は、殺人ピエロと財前樹里と謎の男の子が死んだのを確認してから、その教室から出た。
どこに行くかは決めてない。
とりあえず、校内をまわろう。
そう決めた。
まだ、敵が居るかもしれないから。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。