第8話

8.帰り道は質問タイム
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2017/11/05 07:04
手を取った?
うわ、手繋がれてるんだけど。
あなた

何してるの?

何って、手を繋いでる
なんなんだ、こいつは。
こっちのペースまるで無視して、
自分のペースに引きずり込む。
手を離そうとすると、
だーめ
今日は、繋いで帰るの
あなた

あー、はいはい

そうだよ、私は"彼女"なんだ。
無駄な抵抗はやめて手を繋いでおこう。
そのまま、2人で帰り道を歩いていた。
私には、気になっていた事がいくつかあった。
一緒に帰っているときに、色々聞く。
あなた

いつまで付き合うの?
ちょっとってどのぐらい?明日?
なんで、私なの?
そんなに、女の子が嫌いなの?

質問攻めだね
困ったように笑って、質問に答える。
いつまでか……
とりあえず、3ヶ月位かな?
流石に、明日はないでしょ
女の子は、嫌いじゃないよ
ただ、めんどくさいだけ
なんであなたに彼女を
頼んだかって言うとね……
終始笑って喋る。
こいつは、いつも笑ってるんだな。
でも急に真剣な顔になって……。
可愛かったから、かな
さらりと照れるような事を言う。
私は、湊君好きじゃないけどドキッとする。
顔がかっこいいだけじゃなくて、
言葉のテクニックもすごいから
女の子がほっとかないんじゃないかな。

ていうか、3ヶ月。
あぁ、3ヶ月も彼女のふりしなきゃ。
大丈夫かな……?
どうしようもない不安しかない。

彼氏が、できたなんて言うのは皆には
内緒にしておこう。
イケメンな彼氏がいるなんて質問攻め
されるに決まってるし、嘘カレだし。
あなた

あ、私家こっち。

曲がり角の右方向を指差す。
じゃあ、送ってくよ……
ゴホゴホと湊君は咳き込む。
あなた

大丈夫……?

うん
風邪引いただけだから
そう言って、なおも咳き込む。
あなた

送らなくて大丈夫だから、
しっかり休んで?

じゃあ今日はこれで
くしゃりと、空いていた右手に
メモらしき物を入れる。
あなた

これは……?

連絡先!
追加してね、また明日!
あなた

うん……

まだ、咳をする湊君の背中を
少し見てから、家に帰った。

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