第20話

20.救世主
646
2017/11/17 14:19
美也
ここだよー
彼女が指さす向こう側は……。
ざっと数えて10数人だろうか。
威圧的な表情でこちらも見る、女子達がいた。
先程まで、笑みを浮かべていた2人も
すっと仮面を外したように冷徹な表情になる。

どうして呼ばれたのかは大体察しがつく。
こんなめんどくさい事になるなんて。
イケメンっていうのも罪だよな。
そんなのんきな事考えている。
自分の置かれている状況を
冷静に判断している自分に驚く。
ファンクラブの一員
ねぇ、なんで呼ばれたか分かってる?
ここは、シラを切っておこう。
口角だけを上げて鋭い目で言う。
あなた

さっぱり分かんない

女子の集団は半分は怯んだような顔をし、
もう半分は、より一層目を怒りで燃やした。
そうして、リーダーのような存在の
さっきの2人が前に出てきた。
美也
あんたは、湊君の事で
今ここに呼ばれてんの
理解した?
あなた

やっと、理解した
それで?

挑発気味に質問し返す。
向こうも負けじと言い返す。
香菜
それでって聞きたいのはこっち
なんで私達の湊君に手出してんの?
"私達の湊君"?呆れた。
付き合っても無いのにモノ扱いか。
困ったものだ。自分達の馬鹿さ加減に
気付いていないなんて。
あなた

私達?勘違いしないで
湊君はモノじゃないし、
私と付き合ってるんだから

香菜
モノ扱いなんてしてないでしょ?
湊君は皆のモノ
誰も独占しちゃいけないの
暗黙のルールを破られちゃ困るわ
呆れた顔で堂々と矛盾した事を言う。
こいつら本当に……。
あなた

あんた達には何を言っても
通じないみたいね
でもこれだけ言っておく
私達の事は邪魔しないで迷惑だから

イライラして早くこの場から
立ち去りたかった。
そう告げていなくなろうとしたが
怒りがヒートアップしたのか、
1人が私に向かって手を挙げる。

来るっ……!
身構えたその瞬間。
パシッ。
???
……おっと、何してるの?
頬に来ると思っていた衝撃は来ない。
ぎゅっと瞑っていた目を恐る恐る
開けるとそこには……。
あなた

嘘、なんでここに

???
それは、また後でね

プリ小説オーディオドラマ