彼女が指さす向こう側は……。
ざっと数えて10数人だろうか。
威圧的な表情でこちらも見る、女子達がいた。
先程まで、笑みを浮かべていた2人も
すっと仮面を外したように冷徹な表情になる。
どうして呼ばれたのかは大体察しがつく。
こんなめんどくさい事になるなんて。
イケメンっていうのも罪だよな。
そんなのんきな事考えている。
自分の置かれている状況を
冷静に判断している自分に驚く。
ここは、シラを切っておこう。
口角だけを上げて鋭い目で言う。
女子の集団は半分は怯んだような顔をし、
もう半分は、より一層目を怒りで燃やした。
そうして、リーダーのような存在の
さっきの2人が前に出てきた。
挑発気味に質問し返す。
向こうも負けじと言い返す。
"私達の湊君"?呆れた。
付き合っても無いのにモノ扱いか。
困ったものだ。自分達の馬鹿さ加減に
気付いていないなんて。
呆れた顔で堂々と矛盾した事を言う。
こいつら本当に……。
イライラして早くこの場から
立ち去りたかった。
そう告げていなくなろうとしたが
怒りがヒートアップしたのか、
1人が私に向かって手を挙げる。
来るっ……!
身構えたその瞬間。
パシッ。
頬に来ると思っていた衝撃は来ない。
ぎゅっと瞑っていた目を恐る恐る
開けるとそこには……。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。