放課後、勉強会。
放課後、勉強会。
私は放課後が来るのをものすごく
楽しみにしている。
2人きりじゃないって分かってても、
やっぱり楽しみだよ……!
全ての授業に手がつかず、
麻奈に心配された。
綺麗に整えられた眉毛が
いつもより下がっていて
ぷるりとした唇は、
少しへの字に曲がっている。
麻奈に心配かけたくないからな……。
誤魔化したつもりだったが、
勘のいい麻奈には気付かれていた。
にやりと笑っている。
小さい子供みたいに、
わしゃわしゃと私の頭を
撫でくり回す。
ようやく、手を止めた。
そしてスマホを取り出して
私に画像を送った。
可愛いお店の写真があった。
全体的にピンクの色合いで
麻奈が好きそうな感じだった。
看板があるから、多分お店かな。
メイク位少しはしてるけど……。
化粧水を塗って、乳液を塗る。
グロスで唇を色付けて、
マスカラをつける。
高校生だし、これで十分かな。
なんて思っていたけど、
麻奈に化粧をしないと
言われて周りを見てみた。
女の子達は派手だった。
髪なんて普通に染めているし、
ゴテゴテのフルメイク。
私は、皆から見たら地味に見える。
麻奈も、周りほどではないけどちゃんと
メイクしている。
半年間これに気付かなかった私って……。
自分の鈍感さに呆れる。
"女の子"……。
そうだ。私は女の子。
せっかく女の子に生まれてきたんだから
めいっぱい楽しまないと損だよね。
それで、可愛くなったら
湊君気付いてくれるかな……?
湊君可愛いって思ってくれるかな……?
淡い期待を胸に女子力向上に
励む事にした。
小さな事から始めれば、
きっと可愛くなれるはず。
にこりと笑った麻奈が、
今日はかっこよく見えた。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。