第28話

28.親友の助言について
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2017/11/29 13:49
学校は6時間目まで終わっていた。
教室に入ろうとすると、
麻奈とすれ違った。
一瞬、私にびっくりしたような顔をして
ぱぁぁぁっと笑った。
麻奈
あなた、いい匂い
授業サボってショップ行ったなぁー?
褒められていい気分……、
と浮かれているとはっとなった。
そんなに匂いキツいかな……?
手首をじっと見つめてみる。

それを見た麻奈が
不思議そうな顔をする。
あなた

匂い……、キツい?

ちょっと張り切りすぎ?
急に自信が無くなる。
ひょっとしたらやりすぎなんじゃ……。
すると、麻奈が
麻奈
全然?
自然な感じでいいと思うー
さらりと言った。でも……。
自信が無くなって弱気になる。
先程までの前向きな気持ちが
恥ずかしくなる。
なんであんなに浮かれてたんだろう……。

目線を下に落として、足下を見つめる。
麻奈
あなた!
なに急に落ち込んでるの
大丈夫だって、おかしくないよ
せっかく変わろうと努力したのに
自分が楽しんで
綺麗になろうとしないと
相手から見たって
綺麗には見えないよ?
あなた

うん……

麻奈
自信持って!
ガッツポーズを決める麻奈。
なんでこんなに輝いているんだろう。
麻奈がとても眩しい。

心から、自分に自信があるんだろうな。
そもそもなんで私、可愛くなろうと
思ったんだっけ。
湊君に変わった姿を見てほしい。
そう思ったから。

それなのに、うじうじしてたら
もったいない。
大丈夫、おかしくないよ。
麻奈の言っていた言葉がリピートされる。

よし、頑張るか。
あなた

麻奈、ありがとう!

麻奈
下で海瀬くん達待ってるよー
麻奈の横を駆け抜ける。
後ろでひらひらと手を振ってくれた。
それを横目にしながら、下駄箱へ向かった。
麻奈
いやぁ、恋する乙女は素晴らしい
こう呟いていたのも知らずに。

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