中に入ってみると、本当に
綺麗で豪華なお家だった。
扉がいくつも廊下に並んでいて、
どこがどこの部屋だか全然分からない。
しばらく歩いて、1つの扉の前で
ようやく止まった。
ぎぎっと音をたてて扉が開く。
ふっかふかしてそうなソファー。
多分3人がけだ。
テーブルを挟んで、2個ある。
映画でしか見たことがないような
暖炉。パチパチと薪を燃やす。
ぼふっとソファーに飛び込んだ。
気持ち良さそう……。
私もコートをソファーにかけ、
湊君の隣に座った。
やっぱり気持ち良い!
そう思う反面、私は緊張していた。
こんなに高そうなソファー
座った事ないんだもん……。
がちがちの私を見て、結城君が吹き出した。
その瞬間緊張がふっと途切れ、
私も笑う事が出来た。
すると、私の顔を見て少しうつむいた
結城君の顔が赤かった。
どうしたんだろう。
近寄って様子を伺ってみる。
頬を触ろうとすると、
必死で結城君が抵抗する。
私は面白くなってどんどん結城君を
ソファーの端の方へ追い詰めていった。
伸ばした手が結城君に触れる
前に湊君が割り込んで入ってきた。
こちらに背中を向けているため、
表情は見えなかった。
でもその後、こちらをちらりと見た
湊君はほっぺをぷぅと膨らませていた。
か、可愛い……!
無意識の動作が可愛いってどういう事だ。
私は温かな眼差しで微笑んだ。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。