第34話

34.レモンティーについて
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2017/12/20 14:07
はい、零はレモンティーね
結城零
さんきゅ
そう言って、差し出したレモンティーを
じっと見つめる。
どこか悲しそうに、寂しそうに。
結城零
なんだよ、
そんなに見てもあげねーぞ?
結城君は冗談を言って笑った。
でも、湊君は少し苦しそうな顔をして
そして息を吐くような声で
あぁ、そうだね
と言った。
これは何か言わないとまた空気が
悪くなる……!そう思い私は
とっさに、喋り出していた。
あなた

み、湊君は買ってないの?飲み物

お茶買ったよ、ダイエット中だからね
俺も甘いの飲みたーい!
またいつものようにふわりと笑った。
その顔にあの表情は無かった。

ダイエット中だから、
レモンティーをあんな顔で見てた?
でもダイエットってそんなに
思い詰めるような事なのかな?

色々考えすぎて、
話を全然聞けなかった。
時々くる問いかけに生返事しか出来なかった。
飲むのには温度が丁度良くなった
ココアも味がしなかった。

それからしばらく話して、結城君が窓を見た。
結城零
もうすっかり暗くなったな
私も外を見ると真っ暗だった。
冬は、日が落ちるのが早いなぁ。
ぼんやりとスマホで時間を確認すると、
もう7時だった。
あなた

遅いし、もう帰るね

あ!送ってくよ
外は寒いだろう。
マフラーと手袋をしっかりとつける。
あなた

お邪魔しました
散らかしっぱなしでごめんね?

結城零
気にしないでまた来てね
2人でお礼を言って玄関を出た。

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