街灯がポツポツと足下の道を照らす。
時折、吹く風が生身の部分を
芯から冷やす。
手だけはとても温かい。
湊君が、手を繋いでいてくれているから。
ちっぽけな事だけど、とても嬉しい。
こんな事でいちいち嬉しくなったり
悲しくなったりするなんて恋って大変だな。
と、少し苦笑いをこぼす。
しばらく歩いて、駅前の広場に出た。
クリスマス仕様に彩られた、
イルミネーションがピカピカと光る。
見とれていると、湊君が口を開いた。
緊張しているのか、私の手を握っている
手……。つまり、右手にぎゅっと力が入る。
そして、耳を赤く染めている。
良いに決まってるじゃん……!
私も左手に力を入れる。
いてててて……。
と湊君が繋いでいる手をぶんぶんと振る。
私が笑うと彼も笑った。
ふわふわと白い吐息が冬の澄んだ空に
ゆっくりと舞っていった。
ジリリリリリリリリ……。
うっとおしいアラームを聞いて
ベットから起き上がる。なんだか昨日の事が、
夢のみたいでスマホのカレンダーを覗く。
12月25日
湊君とクリスマスデート♡
と書いてあるのを見てほっと息をついた。
デートか。なんだかんだで2人きりって
そんなになかったよね?
なに着ていこう。と今までにない位
うきうきしながらクローゼットを開いた。
が、テンションが一気に下がった。
冬物の服が全然無い。
秋物の薄手の服が何着かあるが、
さすがにそれでは寒すぎる。
おまけにパンツばっかりで、スカートがない。
うーんと考えた後、そこら辺にある
洋服を急いで着て駅前まで走った。
駅前についた私はお気に入りの店に
片っぱしから入った。
そして店員さんと、じっくり話をして
似合う服をばんばんカゴに入れた。
靴も買っちゃお。関係の無い物まで
買いまくった。
一通り買い物が終わって、私は1つ息を吐く。
目当ての物も買えたし、
カフェでおやつでも食べて帰ろ。
そう思い、カフェの方へ歩き出す。
すると、見覚えのある人影が見えた。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!
転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。