第37話

37.クリスマスの壁
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2017/12/24 14:18
は、恥ずかしすぎる……。
つい今まで、君付けで呼んでたのに……。
いつ呼び捨てに切りかえたらいいの?
瑠美先輩
さらっと自然に言ってみたら?
待ち合わせの時に
"湊!待ってたよ!"みたいな
私の心を読んだかのような
いいタイミングで先輩が続ける。
自然にか……。緊張しちゃって噛みそう……。

でも、周りの子も湊君って呼んでるから
私が"湊"って呼んだら、
差をつけられるんじゃないか?
なんて馬鹿みたいな事を考えたら、
呼び捨てもいい気がしてきた。
いいきっかけだし名前で呼んでみるかぁ……。

別に、湊君の取り巻き達を敵対視してる訳
じゃなくて湊君には他の子と
違うって思われたいなってそう思って。
小さな事だけど私にとってはとっても大事。
あなた

頑張ってみます!

瑠美先輩
おぉ!よく言った!
それでこそあなたよね
よしよしと綺麗な手で私の頭を撫でる。
そういえば、右手につけられた
あの指輪ってなんだろ。ずっと気になっていた
からちょっと聞いてみた。
あなた

先輩……、その指輪なんですか?
もしかして彼氏さんからの
プレゼントですかー?

先輩は目を少し伏せた。
そして、右手の薬指をながめながら
ゆっくりと話し始めた。
瑠美先輩
彼氏そうね、彼氏なのかもしれない
指輪なんてプレゼントする位だから
でも多分、私の片想いよ
明日も一応、一緒に
過ごす事になってるけど……
その目はとても寂しげな目をしていた。
私ったら、ダラダラと相談ばっかして
しかも余計な事まで聞いて。
どれだけ失礼なのよ。急いで先輩に謝罪する。
あなた

すみません!
余計な事聞いちゃったみたいで……

先輩はきょとんとした顔をした。
そして不思議そうに首を傾げた。
瑠美先輩
何言ってるの、あなたは
全く悪くないわ
重い話しちゃってごめんなさいね
からりと笑って見せた。
私もほっとして微笑んだ。
すると先輩が時計を見た。
瑠美先輩
あ、もうこんな時間
そろそろお開きにしましょ
そう言って2人で帰り支度を始めた。
別れ際先輩が私に言った。
あなた

プレゼント……交換?

瑠美先輩
そうよ、プレゼント交換
プレゼント買ってないなら、
買った方がいい
海瀬君はきっと用意してると思うわ
今まで、1人も彼氏がいた事のない
私は全く知らなかった。
世のリア充達はそんな事をするのか……。
でもどこで買おう?少し考えていると、
瑠美先輩
ピンクの香水ショップ
あそこいいお店よ、
そこにしたらどう?
先輩がアドバイスをくれた。
ありがとうございますとお礼を言って別れた。
もしかして先輩はエスパーかも。
おかしな妄想をしながら香水ショップへ
足を踏み出した。

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