は、恥ずかしすぎる……。
つい今まで、君付けで呼んでたのに……。
いつ呼び捨てに切りかえたらいいの?
私の心を読んだかのような
いいタイミングで先輩が続ける。
自然にか……。緊張しちゃって噛みそう……。
でも、周りの子も湊君って呼んでるから
私が"湊"って呼んだら、
差をつけられるんじゃないか?
なんて馬鹿みたいな事を考えたら、
呼び捨てもいい気がしてきた。
いいきっかけだし名前で呼んでみるかぁ……。
別に、湊君の取り巻き達を敵対視してる訳
じゃなくて湊君には他の子と
違うって思われたいなってそう思って。
小さな事だけど私にとってはとっても大事。
よしよしと綺麗な手で私の頭を撫でる。
そういえば、右手につけられた
あの指輪ってなんだろ。ずっと気になっていた
からちょっと聞いてみた。
先輩は目を少し伏せた。
そして、右手の薬指をながめながら
ゆっくりと話し始めた。
その目はとても寂しげな目をしていた。
私ったら、ダラダラと相談ばっかして
しかも余計な事まで聞いて。
どれだけ失礼なのよ。急いで先輩に謝罪する。
先輩はきょとんとした顔をした。
そして不思議そうに首を傾げた。
からりと笑って見せた。
私もほっとして微笑んだ。
すると先輩が時計を見た。
そう言って2人で帰り支度を始めた。
別れ際先輩が私に言った。
今まで、1人も彼氏がいた事のない
私は全く知らなかった。
世のリア充達はそんな事をするのか……。
でもどこで買おう?少し考えていると、
先輩がアドバイスをくれた。
ありがとうございますとお礼を言って別れた。
もしかして先輩はエスパーかも。
おかしな妄想をしながら香水ショップへ
足を踏み出した。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!
転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。