場所が曖昧だったから、この前貰った名刺の
裏に書いてある地図を見ながら歩いた。
ド派手なお店をやっと見つけて、入った。
愛想のいい店員さんが出て来た。
私もこんにちはと挨拶して、
今日欲しい香水の説明をする。
次々に香水が出される。
これいい香り。あっ、こっちもいい感じ。
どんどんどんどん候補が増えていって、
鼻も色んな匂いを嗅ぎ過ぎて、
麻痺しそうになった時に、
1つの香水にビビビっと感じた。
別に特別容器が可愛いわけでもない。
個性的な香りなわけでもない。
でも、湊君にこの香水をつけて欲しいと思った。
"魅力的な花"。
湊君にぴったりじゃないか。
即答して、購入した。
香水ショップをこの前と同じように、
ルンルンと弾む気持ちで出た。
手に持っていたスマホがふるえた。
湊君からのメッセージだった。
ハートマークなんてつけちゃって。
そんなに楽しみなのかな。私と一緒だ。
1人ニヤニヤしながらスマホを見る。
そうしたら、すれ違う人の
視線が痛かったから緩む口もとを手で隠す。
こんな感じでメッセージのやり取りを
続けて家に帰った。
明日の為に寝ておかなくちゃ。
準備を念入りに済ませて、眠りについた。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!
転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。