第39話

39.パニック状態の朝
462
2017/12/25 13:17
只今の時刻、9時。
私は鏡の前でファッションショーをしていた。
スカート買ったはいいものの……。
試着するの忘れた!

私には到底着こなせないスカート達が
足下に何枚も落ちている。
なんで試着しなかったんだろう。
なんで昨日のうちに服選ばなかったんだろう。
今となってはどうしようもない後悔が
私を襲う。あぁ!もう!殴りたい!
昨日の自分を殴りたい!

こうしているうちにも、時間はどんどん
迫ってくる。
混乱した頭でファッションショーを続けていた。

プルルルルルル……。
電話の着信音が部屋に鳴り響く。
誰こんな忙しい時に!
八つ当たりしながら、スマホの画面を見る。
電話の相手は麻奈だった。
あなた

もしもし、麻奈?今忙しくて……、
大事な用事じゃなかったら
また後でかけ直すからその時に……

麻奈
玄関の前に居るから、開けて!
服、選んであげるー!
え?突然の事に頭がついていけない。
服の事、迫る時間の事でいっぱいいっぱいの
頭はミニパニック状態だった。

焦って玄関の扉を開ける。
そこには麻奈が、立っていた。
麻奈
おっ邪魔しまーすっ!
元気な声でズカズカと部屋に入っていった。
どういう事?聞こうと思って
麻奈の後について部屋に入った。
彼女はもう既に私のクローゼットを
ゴソゴソと漁っていた。
あなた

麻奈……、なんでここに?

服を見て、ぽいぽいと投げながら
麻奈はこちらを見向きもせずに答えた。
麻奈
今日、海瀬君とデートなんでしょ?
零君から聞いたの!
でもあなたの事だから
服選ぶの迷ってるんだろうな
って思って、助っ人に来たんだー♡
そうだったんだ……。
パニックだった頭が徐々に冷静になっていった。
そして、こうして駆けつけて来てくれた
事がとても嬉しかった。
あなた

ありがとう、助かるよ

にこりと笑ってお礼を言った。
麻奈は少し手を止めた。
麻奈
いいの、いいの!
お節介かなって思ったんだけど
あなたが喜んでくれたなら
私も嬉しいし!
頼もしい友達を、持って良かった。
そうしみじみと思いながら、隣に座った。
私と彼女の下にはたくさんの服が
散乱している。
こんなのいつ買ったっけ?っていうような
ものまで引きずりだされていた。
あなた

昨日スカート買ったんだけど
似合うものが無くって……
めちゃくちゃ困ってたんだ

昨日買ったスカートを見せると、顔をしかめた。
麻奈
これちゃんと試着した?
全然あなたの持ってる服と
合わないじゃん!
うぅ……。図星だった。
店員さんの口車にほいほいのせられて、
私っぽい服買ってなかったかも。
今度からはちゃんと試着して、
自分に合ってるものだけ買おう!
そんな事思っているうちにコーデが出来上がった。

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