3人は山間都市『エディス・ミューア』に隣接する森林都市『ウウェニス・スターチェ』に辿り着くため森を歩いていた。
別に【空間歪移】で転移してもいいのだが-【亜人】(馬鹿ども)の反応が怖いため安全に安全を考慮した道程である。
【空間歪移】で瞬間移動した3人にまだ視認できない距離にいる、だが気配は理解るそれは追い付けず、地面に着地した。
若干カタコトの、なんとか世界共通語を話す142cm程の小柄な少女-と思いきやこれで立派な大人の、彼女はレイシェーア・ベリンレ。
【亜人】の『小人族』(パリーヴァ)で、【亜人】の中で最も優れた知能を持つ(らしい)彼女は自分の身の丈の3倍程大きい鉄鎚を片手で軽々と持つ。
そう、先程もこれを持ったまま軽い身のこなしで木から木へと飛び移りながら3人を狙っていたのだ。
そう振り下ろした鉄槌を-フリューレは片手で『魔法を使わず』受け止めた。
聖水の賢者、知識欲盛んな【聖魔神】、【悪魔】の中でも有数の知識量を誇る【天魔】…の頂点。
レイシェーア-馬鹿は3人の顔面をまじまじと見てようやく3人の二つ名とその強さを思い出したようで-
鉄槌を地面に突き刺し、冷静な口調になった。
レイシェーア(馬鹿の中の賢者)の一声で様々な人型のバケモノ-【亜人】が集結した。
皆、動きは素早いがどこか顔色が悪そうに見える。
陽光に照り輝く透明の秘薬は今回はフィリエらしくなくまともな薬としての効果を発揮し-ン千ン億と居る【亜人】の病気を一瞬にして治してしまった。
軽く一礼して、レイシェーアは全【亜人】に告げた。
流石馬鹿の中の賢者。
その気になれば【人間種】の少女らへんの口調と変わりない口調で世界共通語を話せるものだ。
しかしやはり馬鹿といえどその幅は広い。
世界共通語すら理解できない馬鹿が居たらしい。流石【亜人】-とフリューレ、レグジェが揃って皮肉を言いかけたところでレイシェーアが亜人語で話した。
亜人語を理解できるフリューレとレグジェは感心していた。
馬鹿でも馬鹿を統べる馬鹿の中の賢者はやはり賢者であった。
【亜人】-それも特に知能を持たないと言われている『小人族』に生まれ。
そして他の氏族の【亜人】を遥かに上回る知能を持ち合わせた彼女は。
亜人語と世界共通語で2人は会話する。
【亜人種】-行き当たりばったりの、計画性もなければ知能もない馬鹿。
馬鹿と天才は紙一重というが-
やはり彼女は馬鹿かもしれない………。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。