生物-魂とその器-体の境界がはっきりとしているもの。
生命-その境界が曖昧なもの。
とくに、魔法生命体はその境界がほぼ『無い』に等しい。
そのため生物が必要とする睡眠などは生命には必要なく、逆に死ぬことによっていつか終わりを告げられる生物に代わって境界が曖昧なことが仇となり死ぬことすら許されない生命ではその寿命も大きく異なる。そもそも魔法生命体には-寿命という概念が無い。
また、例外として死霊術師-【ネクロマンサー】という特殊な職業(クラス)につく魔導師は冥界の底から死霊という所謂アンデッドやゴーストの類のものを召喚し、戦うという特殊な戦法を用いったりする。
そういった死霊などは一度既に死んでいるため寿命などはなく一度滅しても【浄化】をされるまでは何度でも蘇る。
レグジェの読み取った未来だった。
来週、年に1度だけ行われるその年の最強の魔導師、魔法使いを決める大会がある。
種族制限はなし、魔法が使える奴は来い-ティフォの決めた制定(ルール)だ。
勝利条件は至って簡単、魔法で相手を戦闘不能にしろ。それだけだ。逆に、戦闘不能にならなければ試合(ゲーム)は延々と続く。
ちなみにレグジェは魔法生命体なので【超弩級!桁違いの火力持つ魔法生命体】というクラスに所属する。
ティフォも半生命体ということもありレグジェと同じクラスに所属。
他に同じ所属で知っている敵(ライバル)がいるとするならば-魔神位階序列2位【天魔神】フリューレ・フレイアス。
天使と悪魔、両方の特徴を持った全悪魔中最も厄介な悪魔【天魔】の頂点だ。
そう言うとレグジェとティフォはさっきまでそこに居たのか疑わしくなるように、音もなく消え去った。
フィリエ・グラツィエール-【超弩級!桁違いの火力持つ魔法生命体クラス】所属。
大会出場者リストの紙には確かにそう書かれていて-変わることのない現実だと思わされた。
天空の巨大離島『ウェルシェント』に【天魔神】はいた。『ウェルシェント』-天空の離島の中で最大の空島。【天魔】だけが住まうその島の生態系は知られていない。ちなみに『ウェルシェント』もただの離島ではなく、れっきとしたひとつの生命体。
しかし、言葉を発することはなくただ空を漂うだけである。空を漂って3億と余年。死ねない生命体に終わりはない。
【天魔神】フリューレ・フレイアスは唯一『ウェルシェント』と意思疎通ができる悪魔だった。
『あなた様』-種族的に上の立場になる『ウェルシェント』の呼称だ。
くすっとひと笑いしてからフリューレは月夜に言う。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!