ゼフィレス-【二十二種族】位階序列八位【天妖種】の全権代理者にして【天妖種】最凶の少女。
【天妖種】(ルフィルイーデア)-天使のような翼に紅眼が特徴的な闇属性を得意とする妖怪兼悪魔。
序列八位というだけあって保有する魔力量は【バケモノ】、そして気性の荒い種族でもある。
そのため-
ドゴオォォォン!!
…このような爆破音が絶えない。
いつしか【天妖】の住む地下遺跡はその文明の美しさを微塵も残さずただの瓦礫の山と化した。
しかし、その力任せな性格、その生まれ持った強さで地下遺跡のその先を発掘し、遺跡は過去最大級の広さになった。
そんな遺跡、『ドラグネズトーガ』は元々は序列十七位【吸血種】がひっそり暮らしていた場所でもあった。
そのため、瓦礫と化した壁画の一部等には吸血語が書かれている。
だが-【天妖】には無用の長物、そもそも読めたところで八位からしたら雑魚も同然の【吸血種】(じゅうなない)の文明などどうでもいいのだ。
【吸血種】(ヴァンプ)-血を糧とし本領を発揮すれば軽く【悪魔種】を凌ぐ力を持つ種族。
しかし-日光に当たれば灼けるし、十字架に弱い。そのため、思う存分行動できる絶頂期は夜だけ。それも-十字架のない所だけという酷い縛りだ。
そんな狭苦しいフィールド内で生きる【吸血種】は-地下遺跡をゼフィレスら【天妖】に追い払われてからは『オルストラ・ユアンジェン』の地下都市に【地下地精】と共存している。
尚、レグジェが【天妖種】のことを好ましく思わない理由がそれとされている。
冷徹で、心に突き刺さるような他人を突き放すトーンでゼフィレスは問うた。
だがログジェはそれには気にせず即答する。
少し苦い表情をしつつ、ゼフィレスはログジェを睨む。
ろは余裕綽々といった表情で常時自然発動されている能力による記憶を述べた。
全権利を放棄したことにより【天妖種】の裁判権などはすべて消失、しかし力任せな脳筋種族はそんなこと気に留めることもない。
だから-その血を継いだ【亜人種】はもっと馬鹿だし、【天妖種】そのままの馬鹿力を持っているのに更に肉体強化魔法で【人間種】の肉体とは思えない、【悪魔種】並の耐久力を持つ肉体を持った。
だが【天妖種】は【亜人種】のそんな超がつくほど特殊な特性を自分たちのせいだとは知らず【亜人種】は究極の馬鹿だとほざく。
成程、これではどちらが究極の馬鹿か理解らない。
だが、とログジェはその理解らないに首を横に振り【天妖種】が明らか究極の馬鹿でしょと冷たい声で告げる。
た〜っぷりの皮肉とともに、ログジェは昏い笑みを浮かべる。
八位と十七位-位が九つも違う2人は、尚も険悪なムードを放ちながら笑い、話す。
十七位【吸血種】。
血を飲めば上位種をも討ち滅ぼす魔戦期で非常に厄介だった種族。
ゼフィレスは鼻で笑う。
光を宿さない瞳でゼフィレスを睨みつけ-ログジェはそう言った。
紅眼を紫に変わらせ、ゼフィレスは狂気の笑みを浮かべた。
ログジェは強い意志のこもった瞳でゼフィレス-狂笑する【怪物】に呪槍ログレイトを向けた。
禍々しくも光を受けて輝く破滅の呪槍ログレイト。
扱えるのはログジェだけ。
心臓を貫かれた者は不死者だろうと死に至らせる。
くすくす嘲笑する怪物に、だが-
金色に瞳を輝かせて、ログジェは槍を撫でた。
その瞬間-破滅へ向かう音が聞こえ、視界は土煙や砂埃で白く覆われた。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。