ゆずなside
そう言って私は病室のドアを勢いよく開けた
JUMPのみんなとは病院の前でばったり会った
そう注意してくる侑李の声が聞こえたような気がする
そう言ってあなたは目に涙を浮かべていた
そう言ってあなたは泣きながら事情を話してくれた
そう言って私はあなたのほっぺを、みょいーんっと伸ばした
あなたに笑顔が戻った。そう思った
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あなたside
大貴が事故にあって1週間が経とうとした頃
私は、Hey!Say!JUMPの誰かと毎日のようにお見舞いに来ていた
まだ目を覚まさない大貴のもとに
今日は涼介とゆずなとお見舞いに来た
そんなことを呟きながら、大貴の手を握る
私にはこんな小さなことしかできない
情けない。
こんなことしかできない自分が情けない。
そんなことを思っていると泣きたくなる
涙が一筋大貴の手に落ちた
その瞬間まるで動かなかった手がピクリと動いた
目が開かれた
あのクリクリとした目が
私は思わず手を握りしめてしまった
喜びが胸に溢れていたとき
そう言われて私はパッと手を離した
そう言って私を見る大貴の目は
いつも、私を見ていた優しい目とは全然違っていた
まるで、怪しがっているような目だった
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。