あなたside
涼介は私におかゆを食べさせてくれた
優しいなぁ
つくづく私はそう思う
うっかり涼介を見つめてしまった
心配そうに私を見つめるその瞳に不思議な気持ちをもった
わざと吹っ切ったような言葉づかいにしてみる
でも、まだ、言ってて悲しくなる
ギュッ
抱きしめられた。
もうやめてよ
優しくしないで
私はあなたに優しくしてもらえる資格なんてないのに
本気で好きになっちゃうじゃん。
山田side
あなたがポツポツと話し始めた
いや、結構なスピードで話し始めてる
てか、大ちゃん何言ってんの?
俺、あいつ記憶なくしてから何にもそんなこと話してないのに
俺、今告られた!??
じゃなくて、あなたのテンション明らかにおかしいだろ!??
顔真っ赤だし、熱上がったんじゃ…
あなたのおでこに無理やり手を当てる
まだ興奮冷めやまないって感じだな
チュッ
俺はあなたにキスをした
あなたは消え入りそうな声で言った
布団に潜り込む
しばらくするとあなたの寝息が聞こえた
よかった。
やっと寝てくれた
てか、大ちゃん何言ってんだ??
俺、記憶のないあいつに何も言ってない。
…やっぱり記憶戻ってんじゃん。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!