早く琉を見つけないといけない…!
私は琉が殺された場所まで走った。
それはもう、必死過ぎるほどに。
時間が余りないんだ!
琉の居る教室には、五分ほど経って、ようやく着いた。
良かった…。
間に合ったのか…?
扉が開いている。
私は教室へ入った。
琉しか居ないはず。
そう思って私は入ったが、もう一人居た。
厄介なやつが。
カイトが…!!
カイトは殺されたはず…。
もしかして、人形とかロボットとかか?
そうだよ。
それしかない…。
いや、でも完全に死んだかどうかは自分では確認してない。
本物の可能性もあるか…。
本物だとしたら、さなは裏切り者ということになる。
もしそうなら、あの時泣いていたことも全部が演技だったというのか…?
でも、もしそれなら、今まで起こってきたことの説明がつく。
さなに化けた偽物が襲ってきたのは、本物のさなが王に私の計画を全て教えたからである。
そう説明が出来る。
さなが裏切り者とは、信じたくない…。
いや、待つんだ…!
まだ確定した訳じゃないだろ?
そうだ、さなはきっと裏切り者じゃない…。
信じてみよう。
さなは私を裏切らない。
その時だ!
カイトは喋り出した。
『その考えは合ってねえよ。残念だったなぁ。俺が生きていて。ここに来た目的は何だ?』
声に出ていたことに、私は今さら気づいた。
もう丁寧な口調じゃない。
なら、命令しても意味無いか。
『もう分かっているのだろう?』
私は教えなかった。
だって、もう知ってるだろうと思ったから。
『あー、そうだ。分かっているさ。琉にお別れの挨拶を言いに来たのだろ?』
『そうだ!だからどけ!すぐ終わる。』
私は戦いに無駄な時間を使いたくない。
『それは無理だなぁ?あんたには琉と戦ってもらうからな!』
カイトはニヤリと笑った。
その時、後ろで倒れていた琉が立ち上がってきた。
私は思わず、琉を呼んだ。
『琉!!』
でも、反応は無い。
何だか、琉はまるで誰かに操られているようだ。
……そうか!
よーく分かった!
『ねえ、カイトってさ、魔法使えるの?』
『もちろんだろ?魔法なんて簡単に使える。』
カイトのその返事で確定だ。
もう琉は死んでいる。
カイトが琉の死体を操っているだけだ。
そうと分かれば、カイトを殺せばいいだけだ。
二度目の失敗はしない。
絶対殺してみせる!
予定は狂ったが、復讐が出来るんだ。
私にとって最後の復讐が…。
絶対、王達が来る前に終わらせる!!
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!