やっぱり、強い。
私は限界が近くなってきた。
でも、諦めない。
負けたら、琉が犠牲になる。
それに、私も、相手の仲間にならなきゃいけない。
そんなの嫌だ。
絶対、最後まで諦めない。
勝ってみせるだ。
その時だった!
相手は、長い呪文を唱え始めた。
私は、その間に攻撃しようとした。
だが、強力なバリアのせいで半径3メートルの場所に入れない。
これだけ長いと、相当強い攻撃をしてくる。
今の私では、そんな強い魔法を守れるような強い魔法は起動出来ない。
やっぱり、負けてしまうのか。
いや、避けることが出来るかもしれない。
それと、残り全部の魔力を使おう。
そんなことしても、勝てないと分かってるけど、少しでも可能性があるならどんなこともやろう。
勝ちたかった・・・。
悔しい。
琉を守れなかった。
結愛も守れなかった。
私は、何も守ることが出来なかった。
その時、声がした。
『今から、言う呪文を唱えて。・・・と唱えて。』
誰の声?
分からない。
けど、助けようとしてくれてるのかもしれない。
なら、言われたとおりにしよう。
言われた通りの呪文を唱えた。
私が唱え終わると同時に相手も唱え終わった。
力が湧き上がってくるような気がした。
そして、気づいた。
私が唱えた魔法は、世界で一番強い最強魔法だってことに。
使った魔力が全部戻ってきたみたいだ。
この魔法は、魔力を全回復してから、魔力を全部使う魔法だ。
その時、本に書いてあったことを思い出した。
この魔法で一度、世界を破壊してしまった魔女が居ると書いてあった。
私は、破壊なんてしない。
ただ、相手を倒したいだけ。
早く相手を倒さなければならない。
じゃないと、琉が壊れてしまう。
私は、相手に向けてその魔法を放った。
その瞬間、相手も察したのか攻撃をやめて、逃げようとした。
でも、逃げれるわけが無い。
一瞬で倒せた。
そして、相手の姿は花びらのように散った。
それと同時に、大きい破壊音がした。
その後、私は、相手に近付いて、様子を見た。
身体がバラバラになっていた。
元の形が分からないほどに。
相手が死んだのを確認すると、私は琉の方へ行った。
琉は、目を閉じたままだった。
時期に覚ますだろう。
私は、とりあえず、魔法で琉の傷を治した。
すると、それと同時に琉は目を覚ました。
でも、琉は、私を見て震えてた。
『何があったんだ?・・・』
血塗れの場所と返り血をたくさん浴びた私を見てから、聞いてきた。
声が少し震えていた。
『相手を倒しただけだよ。』
私は、笑顔でそう言った。
私は、間違ったことはしてない。
正しい事をしたんだ。
なのに、何で怖がるんだ。
私は、震えてる琉をロッカーから出した。
『行こ!』
手を差し出して、言った。
この時、私は、まだ気づいてなかった。
琉は、今までの記憶が相手に消されてしまっていたことに。
その記憶は、消した本人しか戻すことが出来ない。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。