『ここです。私が見張っているので急いで下さい。』
さなが言った。
頑丈そうなドアだ。
パスワードを押さなければならないのか。
パスワードが分からない。
『さな、パスワード分かる?』
試しに聞いてみた。
疑われてしまうか?
『また、忘れたのですか?王様の誕生日の0528ですよ。』
良かった。
疑われてないようだ。
『ごめんなさいね。ありがとう!』
そう言うと、私はパスワードを押した。
すると、ガチャッと音が鳴った。
扉が開いた合図見たいなもんだ。
私は、周りを確認して、中へ入った。
中は、資料が溢れかえっている。
この中から探すのは、時間がかかってしまうな。
私は、資料を出来るだけ手に持ち、出て行った。
『ありがとう、さな。もうそろそろ寝ることにするわ。明日もお願いね。』
そう言って、自分の部屋に戻った。
資料は、洋服の入っている棚に閉まった。
バレたら、大変なことになると思ったからだ。
その時、時計が目に映った。
もう、一時半か。
資料を見ても、途中で寝てしまう可能性があるな。
私は、床で寝ることにした。
ベットは、木が当たって痛い。
だったら、床の方がマシだ。
色々と考えていると、寝てしまっていた。
『蘭様。朝ですよ。』
カイトの声で起きた。
『蘭様?起きてますか?』
次は、扉を開けてきた。
『起きてるわ。』
私は、あくびをしながら言った。
まだ眠い。
私は、目を閉じては開いてを繰り返していた。
すると、『起きてください!朝食の時間です!それと、大事な話があります!』と大きな声で言ってきた。
そのせいで脳が起きてしまった。
『着替えるから、出て行ってくれる?』
私がそう言うと、『わかりました。』とカイトは言って出て行った。
今日は資料が全て揃う。
カイトを殺すのは、明日にするか?
いや、早すぎか?
早くても、もういいや。
明日殺そう。
今日中に資料に目を通し、作戦を立てよう。
明日は、とても楽しみだな。
ようやくカイトを殺せるんだ。
武器は何にしようか。
電動のこぎりとかあるかな。
カイトの逃げまわる姿、恐怖で満ちた表情、見るのがとても、とても、楽しみだ!
どこまで逃げるのかなぁ。
最初に両足を斬って、次に両腕を斬って、その次に首を斬ろう。
本当に明日は楽しみ過ぎるな。
いつの間にか、表情が怖くなっていた。
私は、表情をやわらかくして、食事をする所へ向かった。
その途中でさなに会った。
私はさなの耳元で『今日もよろしくね。』といい、ニコッとした。
『任せてください。』
さながそう言ってお辞儀をした。
『ありがとう。今度、髪飾りをプレゼントするわね。』
『そんなことまでして頂くても大丈夫です!』
『私がしたいの。』
『そういうことならいいですけど。』
『良かったわ。そうそう、これを渡すわね。今日から付けて欲しいの。』
『ありがとうございます。ぜひ、付けさせてもらいます。』
私はさなに腕輪を渡した。
腕輪には盗聴器が入ってるのだ。
チクったらこれで分かる。
さなのことは、完全に信じたわけじゃない。
本当に信じても大丈夫なのか、調べる為に盗聴器を付けた。
『その腕輪、外さないで欲しいわ。私も付けてるのよ。お揃いね。一日中、外さないでね。』
そう言うと、私は、食事をする所へ真っ直ぐと寄り道せずに行った。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!