この状況は私に不利だ。
転移魔法を使えばいいかもしれないけど…。
時間がかかる。
そんな時……!!
銃弾が四方八方から飛んできた。
私は急いでバリアをし、銃弾を防いだ。
だが、一弾だけ間に合わなかった…。
バタンッ……!!
私は倒れてしまった。
銃弾は私のお腹を通り抜けた。
痛い…!
死にたくない…!
あー、もういい。
攻撃してくればいい。
時間をかけてでも、転移魔法を使ってやる!
私はそう決めると、長い文を唱え始めた。
『逃げる気か?ここで殺せ!カイト』
王がカイトに命令をした。
転移魔法を使おうとしているのがバレたのか。
まぁいい。
『もうそのような力は残ってません。』
カイトは断っていた。
力ならまだ残っているはずだ。
何故使わない?
私には理解出来なかった。
三分かかり、やっと唱え終わった。
『転移!』
そう言い、私は消えた。
琉は置いてきた。
凄く連れてきたかったよ!
けど、死人を連れてきたら大騒ぎになってしまうだろう。
きちんと、お別れの挨拶はしてきた。
『さよなら、琉。守れなくてごめんね…それと、今までありがとう。』
そう言ったとき、琉の手が少しだけ動いたような気がした。
琉の事は忘れない。
もちろん、結愛のことだって忘れない!
私が転移した場所は自分の家の前だ。
平和そうだが、実際は平和ではない。
人が消えていっているんだから。
日が沈んできている。
こんなに綺麗な空を見るのはいつぶりだろうか。
私の頬に透明なものが伝った。
私は深呼吸して家の扉を開けた。
『ただいま!』
私は大きい声で言った。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。