ミーニャは王と直接触れ合い攻撃。
私は少し離れたところから魔法を使い攻撃。
裕也は私達に指示をしている。
今のところは順調だ。
王は攻撃を防ぐのだけで精一杯だろう。
王から攻撃は飛んでこない。
この調子なら……犠牲が出ずに王を倒すことが出来るかもしれない!
そう希望が見えた直後だ……!
私は見たのだ。
王に傷は付いてない。
何故だ?
おかしい。
『おい!攻撃を止めるな!』
裕也が叫んだ。
その言葉は私に向けているのだとすぐに分かった。
『ご、ごめん!』
私は謝った後、また攻撃を開始した。
その時……!!
バタリ……!!
ミーニャが倒れた。
『ミーニャ!』
裕也はそう叫ぶと、ミーニャの元へ駆けつけた。
ミーニャを抱えると、すぐに裕也は戻ってきた。
『弱い……弱すぎる!それが本気か?』
王は私と目を合わせてきた。
私は目が合うと、王を睨んだ。
だが、王が目をそらすことは無かった。
『弱い?誰の事だよ!私は弱くない!お前なんかすぐに倒してやる!』
そう言ったものの、勝てる自信は無かった。
それとは逆に、負ける自信はあった。
『本気でこい!』
王はそう言うと、動くを止めた。
『ごめん。もう良いから逃げて!』
私は裕也に言った。
『一人では倒すことは出来ない!一緒に逃げるんだ!』
裕也は手を伸ばしてきた。
だが、私はその手を取らなかった。
『逃げろって言ってんだよ!一人で戦う方が戦いやすいし!ミーニャも裕也も足でまといなんだよ!』
私はわざとひどい言葉を放った。
『なら、他の人を呼んでくる!それまでは……』
その言葉の途中で私は何も聞こえなくした。
もう何も聞かない方がいい。
やがて、ミーニャと裕也の姿は見えなくなっていた。
『一人で倒す気か?』
王が何か言っている。
言葉は聞こえないが、口が動いているから何か言っているんだとぐらいは分かる。
まぁ、そんなことはどうでもいいだ。
『早く死んでよ!』
そう言うと、私は速いスピードで王へ近づいて行った。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!