動けない。
怖い。
何でこんなに怯えてるのだろう。
どうしたらいいんだ。
戦わなきゃ。
無理だ。
勝てない。
でも、琉は戦っている。
何度も吹っ飛ばされてるのに。
諦めてない。
その時、琉が言った。
『行け!逃げろ!戦わないなら遠くへ行くんだ!結愛を連れて遠くまで行け!』
『で、でも・・・』
私が言おうとした時、琉が遮った。
そして、言ってきた。
『今の俺じゃ勝てない。分かってる事だろ?俺は犠牲を増やしたくない。だから、早く逃げろ。時間が無い。俺もそろそろ限界だ。早く逃げろ!』
私は、琉の言う通りにした。
これは間違ってる選択かもしれない。
自分でも分かってる。
あのままでは、琉が死んでしまうことぐらい分かってる。
けど、怖かった。
あの敵は、攻撃をしても傷が治ってしまう。
だから、弱点がわからない限り倒せない。
でも、その時、思い出した。
前に琉に言われた言葉を。
『敵が強くても諦めるな!俺達が居るんだ。それに、お前は強いからな。まぁ、俺の方が強いけどな。』
その時、私は言ったはずだった。
『私の方が強いし。だから、二人は私が守ってみせる。』
そして、笑ったのを覚えている。
なのに、私は逃げてきてしまった。
私は、結愛も琉も守れてない。
結愛は、まだ微かに心臓が動いている。
今は動いていたとしても、死ぬのは時間の問題だ。
それに、琉も同じことが言える。
琉が負けて死ぬのは、時間の問題だ。
だったら、私と琉が一緒に戦って勝つ、微かな可能性があるなら、私も戦おう。
それが、今の私に出来ることだ。
私は、気合いを入れた。
そして、結愛をロッカーに隠してから、私は、琉の所へ行った。
でも、私は、この選択が間違った選択だったと後で気づくことになった。
いや、どっちを選択しても間違っていたんだ。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。