第14話

知りたい
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2017/11/14 09:35
それからは、霜野君と登下校するのは
いつの間にか当たり前になっていた。

どうやら私と霜野君は家が近いみたい。

学校の子だってそれが当たり前だと思ってるのか私にも霜野君にも挨拶をする。


正直、私は霜野君と共に登下校をしても苦だとは思ってない。

寧ろ、暇な登下校を誰かと話をして帰ることで
時間が早く感じる。


そんなある日も、霜野君と登校してきて、
教室で小テストの勉強をしていた。


すると…参考書の上に影がかかる。

私は参考書から目を離して、上を見ると…
あなた

確かあなたは…

中川 春奈
中川 春奈
中川 陽菜です!
この前は…助けてくれてありがとう…
私がいつかイジめられている所を助けた女の子だった。


あの日から昨日までずっと学校を休んでいたから、久しぶりに会った。
目がクリッとしていて、白い肌にくっきり二重。

ぷっくりとした色のいい唇にスっと通った鼻。

まるでモデルさんのように整った顔立ちをしている。

それに化粧もナチュラルにしているから
全くケバくない。
中川 春奈
中川 春奈
ずっとお礼を言いたかったんだけど…
学校行けなくて……
この子がイジメに遭う理由が何となく分かった気がした。


こんなに可愛くて、性格もいい。

10割中9.9は女達の妬みだろう。

それに中川さんに向けられる男子からの好奇の目。

それを見るに、彼女も大分モテるはず。


まぁ私が男だったとしても中川さんにきっと
好意を持つだろう。


女の妬みは怖いからね。
あなた

いいよ。
大したことはしてないし…
それより大丈夫なの?

中川 春奈
中川 春奈
うんっ!お陰様で!
そう言い微笑む彼女は言葉通り元気そう。

だけど瞳に映る不安はまだ消えてないみたい。


お昼休み。

私はいつも通り屋上で霜野君とお昼を取ろうとした。


彼は何故か私と一緒にお昼を取りたいという。

理由は全く不明だ。


だけど、こうして霜野君と行動を共にすることで私は霜野君についてかなり分かった。

実はこの外見で甘党なこと。

ニンジンと茄子が苦手なこと。

炭酸は飲めないこと。
だから、私の中でこっそりお昼は楽しみでもあった。

彼のことを知っていく度に喜んでいる私が居る。

変なの…

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