いつも通り、弁当を片手に霜野君と屋上へ向かおうとすると 目の片隅で1人、弁当を広げようとしている中川さんを見つけた。
彼女の背中は悲しみで押し潰されそうになっていた。
中川さんの周りでは楽しそうに机を合わせて
弁当を食べている女子達。
中川さんのことなんて見えているのか見えていないのかすら分からない。
気づいたらそう、中川さんに声をかけていた。
いつもなら、周りの目を気にして頭で考えて行動に移していた私には初めての体験。
体が…言葉が勝手に…
だけど不思議と後悔なんてしてない。
少し潤んでる中川さんの目。
私はもう1人の存在を忘れてた。
教室の入口で私たちの様子をボーッと見ていた霜野君。
私達は教室から離れ、屋上へ足を運ぶ。
気持ちのよい日差しが私たちを照らす。
自然と箸を進める手が止まらない。
まだそんなことを言ってる中川さん。
それから私達は色んな話をした。
まぁ霜野君は私たちの話に相づちを打つばっかりだったけど。
すごく充実した時間を過ごすことができた。
春奈はすごく面白い。
私は個人的に春奈のことを好きになった。
この出会いが私の運命を変えることなんて
私は知らない。。。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!