すると、途中で見た事のある後ろ姿を見つける。
そう。その姿は霜野君だった。
ラフな格好なのに、霜野君が着ると
なんでもオシャレに見える。
霜野君の私服姿を初めて見た私は
胸の鼓動が早くなるのを感じる。
それが霜野君にバレないように。
必死に隠す。
全く噛み合わない会話。
一見、冷たく聞こえるその言葉の意味を理解する。
新しいことを知りました。
霜野君は不器用です。
次に言った霜野君の言葉が聞き取れず、
私は聞き返す。
私より遥かに身長が高い霜野君を自然に見上げる形になる。
すると、霜野君も私のことを見ていたみたいで
数秒間目が合う。
私は顔が真っ赤になってそれ以上霜野君のことが見れなかった。
それからは、2人とも話すことはなく
ただ並んで駅を目指していた。
駅につくと、既に春奈と浩人君は居たみたいで
私たちに手を振っていた。
と。また抱きつこうとしてくる浩人君。
それを阻止したのは… 霜野君だった。
そう言われ、少し拗ねてるご様子の浩人君。
なんだかウサギみたいで可愛い…
春奈のその言葉で私達は遊園地を目指して
電車に乗り込んだ。
暫く電車に揺られ…
やっと遊園地に到着。
さすが双子。
春奈と浩人くんはノリノリ。
浩人君のご機嫌も治ってよかった。
そして、私と霜野君はそんな2人の後を
静かについて行く。
母親の気分ってこんな感じなのかな?
何だか……すごく春奈と浩人君がわが子のように見える。
春奈が指さしたのはメリーゴーランド。
メリーゴーランドなんていつ以来乗ってないかな…地味に早いから怖いんだよね…
そして、それからも春奈と浩人君に振り回されて 色々な乗り物に乗った。
浩人君が指さしたのはほとんど、180度から落ちるジェットコースター…
あれはやばいよ…
すると気がついてくれたのか
霜野君がそう言ってくれる…
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。