第4話

*もしも世界で一人ぼっちになっちゃったら
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2018/01/04 13:40
もしも世界で一人ぼっちになっちゃったら

目が覚めたら  誰ひとり人がいなくって

そりゃきっと  喜ぶのさ

いつも通ってた学校だって  先生もいなくて

授業に出なくたって  先生にも親にも怒られたりなんかしないよ

それに  人がいなくなったからっていっても

都市機能が麻痺して  

レジ員さんがいなくて コンビニがやっていないだとか

電気会社さんが誰ひとりいなくて  電気が止まってるだとか

そんなこともなくて  

ただ  そこらじゅうの人が神隠しみたいに

いなくなって  日常に異常のない生活が過ごせるものなら

きっと  

いつもなら お母さんに止められるようなことしてみるんだろ…

真夜中まで好きなだけTVみて 寝転んで遊んで

好きなもの食べて 好きなもの飲んで

食べ物が無くなったら  お店からとってきて

家にいるのがつまんなくなったら  

ちかくのゲームセンターも カラオケも 遊び放題で

ゲームの相手だって コンピュータがしてくれる

そんな時代だもの

でもたぶん しばらくしたらね

僕は  いつしか玄関近くで過ごすことが

多くなるんだ

誰か  ひょっこり  この扉開けてくれるんじゃないかって

誰か  いつもの調子で 「ただいま」って帰ってくるかなって

それでも  もし誰も来ないってわかったら

次にきっと僕は  ベッドに入って

目覚ましはかけないで

瞳を  閉じて一日を過ごすんだ

いつか  巡って巡って超えてきた夜の夢に

とらわれたまま…   覚めないまま…

都合のいい滑稽な夢のなかで

懐かしい笑顔を  探しに行くたびに出る


結局は、たぶん

僕は  ひとりで生きていける気がしない。

だから今日も  待っている。

『ただいま』

…ああ  『おかえり』

大すきなひと   大切なひと




ねぇ…?   安心するね  優しい君の『ただいま』は。

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