もしも今の人間にあと一つ何かをつけるなら
どんなものを お願いしようかな?
まだ 完璧じゃない僕ら。
足りないものなら あとひとつじゃ 埋められないくらいだよ。
計算が完璧にできる 演算機能かな
イルカやこうもりみたいな 超音波が便利かな
そうだね もしかしたら
今ある何かの数を もっと増やすっていうのもあるかもね
よく見える目をもうひとつとか 耳をもうひとつとか
15まで数えられるように あとひとつ手がほしいとか…。
大好きな海を 自由に泳ぎ回れる水かき
それも 素敵なんだけど
僕はね
羽がほしい。
薄くて 軽くて
触ったら ふさふさの毛布みたいな
色は そうだな …あの空みたいな澄んだ青色がいいな
それでね
透明な風に乗って
ずっと昔から 誰もが憧れたその空に
翼を 広げて 風を切ってみたい。
そして ずっと知りたかった景色をちゃんとこの瞳で知りたい
ああ 今この空と同じ景色がちゃんと見えるよと
そして きっと
もっと 深くその蒼に 焦がれてしまうんだ。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!