第10話

もしも僕らが人間に生まれていなかったら
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2017/12/02 14:22
もしも僕らが人間に生まれていなかったら  と、

考えてみたことがあるんだ。

もし今のこの世界が人間じゃなかったら

一体  なにに生まれてたかな?

もしかしたら  毎朝その街角を横切る野良猫で

汚いといわれても その今日一日を生きるために

必死で  ごみをあさっていたのかな?


もしかしたら  こことはずっと違うもっと山の方の森林で

せっかく根を張って 生きてきた木(ぼく)を

人間(ひと)は  平気な顔して傷つけてたんだろう


もしかしたら  この青い蒼い空を駆け抜けるあの鳥で

しがらみやルールや決まりごとに  縛られて身動きの取れない

今の僕が憧れてやまない空を  自由に舞うことができたんだろ…


人間に  生まれてよかったと思うことも

人間で  なければよかったと思うことも

たくさん  あるんだろ…

でもね  僕ね

人間でよかったの  

生まれ変わってもまた  人でありたいの

何処かの  本でね  或いは   時代(いつ)かの  誰かがね

云っていたよね…?

人間が  醜く、汚い生き物だと。

裏切りだらけで 偽りだらけで  矛盾だらけで 息苦しいものだと。

そうだね     裏切りも偽りも当たり前だけどね

だけど  信じることも真実もある。



なにより  誰かを”想う”ことが   できるんだ

人間に足りないことなんて  

数えだしたら  きりがないよ

やめておこうよ

ただ  誰かを想える僕らがいたらきっと 

そのなかの 裏切りだって偽りだって 何度でも乗り越える




ねぇ  僕

人間に生まれてよかった。

君を想える  僕で    ほんとうによかった。 

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