もしも僕が声を失くしたなら
何を伝えたかったと 嘆くだろう
もしも次の一言で 絞り出せる声が最後というのなら
僕は何を 伝えたがるだろう?
僕は誰に 聞いて欲しいというのだろう?
言わずとも僕は知ってるんだよ 聞かずと僕は気づいているんだよ
間違いない 迷いはない それはきっと必ず君にだよ
最後の声を振り絞ってさ たとえくだらないねと笑われようとも
僕は言うのだろう わかりきってるとしても かすれた声で
『好きだよ…』
もしも君が声を失くしたなら
僕はどれほど 自分の正常な喉を憎むのだろう…
涙が泣き出しても 声のひとつも上げらんない君に
我慢しなくちゃいけない僕が …すがりついてしまうだろう
神様 こんな声とでもいいだろう? 君の声を返してよ
僕が「愛しい」というより 君の声で 君の口がこぼす
「愛しい」の方が何倍も 綺麗なんだよ…ねぇ…。
――――…そんなところで、覚める夢。
「おはよう」の 君の声が聞こえたんだ
眠りの隙間に 聞こえたんだ
夢の中じゃもう 失くなってしまってた君の声に また出会えたんだ
嬉しくて僕も笑い返したんだ 「おはよう」
掠れてなんかいなかった ちゃんと声は ここにいた
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。