第5話

2度目の不思議体験
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2017/11/06 12:34
俺はその日の練習が終わると、走って部室へ向かい、速攻で着替え、『和泉先輩』の元へ向かった。

練習中にチラ見して、坂の上のベンチにいたことは確認済みだ。
さっきまで座って黙々と描いてたから、きっとまだいるはず。

俺はただ、和泉先輩にお礼を言いたくて、とにかく、何でもいいから話したくて、知り合いみたいなものでもいいから、何か関係を持ちたかった。

俺が坂を駆け上がると、ちょうど先輩は立ち上がり、帰ろうとした。

俺は急いで呼び止めた。
高良 瞬
高良 瞬
あのー
声に出してから俺は思った。
馬鹿!俺!こんな語尾を伸ばして言うやつ、めっちゃ印象悪いだろ!と。

すると、先輩は少し怯えた様子で
は、はい……?
と返事をした。

俺は少し息を整え、また話し始めた。
高良 瞬
高良 瞬
俺、2年の高良瞬っていいます。
昨日絆創膏、ありがとうございました。
いっいえ、あの、怪我はもう大丈夫?
高良 瞬
高良 瞬
はい、もう大丈夫です。助かりました。
俺がこう言うと、先輩は
そ、そっか……良かった……
と、微笑みながら言った。

そしてそのとき、俺はまたあの不思議な体験をしたのだ。
その目に吸い込まれて、そしてゆっくりと俺の身体ごと全部包み込まれるような、そんな感覚。

まさに、『落ちる』感覚。



あ、と思ったときにはもう口に出していた。
正人をはじめ、友達が言うように、俺は馬鹿で単細胞で、きっと理性なんてなかったのだろう。
高良 瞬
高良 瞬
先輩が、好きです。
と。

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