第11話

茜と自己満足②
186
2017/11/12 09:01
試合を見ながら部活をする……というのは、私にとっては難しかったらしく、なかなか部活の方が進まない。
サッカー部の試合に、目が釘付けになってしまう。
……まあ、サッカー部というか、さっきから私は高良君から目が離せなかった。


高良君は2年生にしてレギュラーの座を勝ち取っただけあって、やはりチームの中でいい動きをしているように思う。(私はサッカーのことは全くわからないけれど。)
エースとか、そういう華やかなものではないけれど、ボールを上手く相手チームの間を抜けるようにまわしている気がする。

……すごいなあ。

素直にそう思った。
ずっとずっと、見ていたいと思った。
高良君が頑張って、努力の成果を発揮している姿を見ていると、こっちまで元気が湧いてくる。
高良君には、すごい力がある。

私はそれを、スケッチブックの最後のページで表現したかった。


そしてサッカー部員全員が全力で戦い続けた結果、うちの高校が勝利した。


汗を拭きながら1人でドリンクを飲んでいる高良君を見ながら、口パクで『お疲れ様』と言うと、高良君は『ありがとう』といつもみたいな笑顔に戻り、大きく手を振った。

なんとも言えないくすぐったい気持ちが、心地よくて、心のコップに大好きなジュースがとくとくと注がれ、やがて満たされるような満足感を得た。



プリ小説オーディオドラマ