第14話

波紋①
210
2017/11/19 13:41
前田 遼河
前田 遼河
好きなんだ、和泉さんのこと
あなた

え……?

昼休みのことだった。
学年トップクラスのイケメンだって恵美が言ってた、前田 遼河(まえだりょうが)君から告白されたのは。

前田 遼河
前田 遼河
俺と付き合ってくれませんか
あなた

え!?
えっと、あの……私、前田君と話したことあったっけ……

話したことはなかったと思う。
だから、なぜ前田君が私に告白をするのか、なぜ私を好きになったのか……これが、純粋に謎だった。

しかし、私がそう聞くと、前田君は驚いたような顔をした。
前田 遼河
前田 遼河
え、覚えてない?そっか……
あなた

もしかして話したことあった!?

前田 遼河
前田 遼河
うん、実は。まあ、去年の話なんだけど……
私ってば、なんて失礼なことを……!
埋まりたい!穴があったら埋まりたい!
前田 遼河
前田 遼河
俺、去年部活のランニング中に転んでさ。
で、保健室行こうと思って廊下歩いてたら和泉さんが怪我に気付いてくれて。











~1年前~



あの、よかったらこれ……
前田 遼河
前田 遼河
え?
小さな女の子に渡されたのは、赤い絆創膏だった。












前田 遼河
前田 遼河
で、そのあと1年教室まわって和泉さんのこと探したんだけどいなくて、でも学年集会で見つけたんだ。
そのときからずっと気になってた。



すごい聞いたことあるな、これ……

前田 遼河
前田 遼河
それで、気付いたら好きになってた。
俺じゃダメかな?
あなた

だ、だめとかそんなんじゃ……
……でも、ごめんなさい。

前田 遼河
前田 遼河
そっか……もしかして、瞬?
あなた

え?

前田 遼河
前田 遼河
瞬、和泉さんに懐いてるでしょ。
もしかして瞬のこと好きなのかなーって
あなた

な、なななんで!?違うよ……!

前田 遼河
前田 遼河
あれ、そうなの?
じゃあ俺にもチャンスある?
そう言いながら、前田君は高い背を曲げて私の顔を覗き込んだ。
あなた

男の人って、みんなこんなに距離感近いの……?
あなた

チャ、チャンスとは……?

私はその近さに耐えられなくて、後退りをしながら聞いた。

すると、前田君はクスッと笑いながら
前田 遼河
前田 遼河
俺が、和泉さんと付き合えるっていうチャンス。
あなた

え、それは、えーと……

前田 遼河
前田 遼河
まずは俺と友達になって下さい。



男の友達が、2人になった。

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