第12話

すれ違う
94
2017/12/19 11:54
日向side




なんでこんなことになったんだか



今私は夢の国こと

ディドリーランドに来ている


──わけなんだけど
千草
っは……!
日向
……っ💢💢
千草に盛大に笑われている



なぜかと言うと





リッキーの被り物をした私が大変ウケるらしい







……しらねーよ!




元はといえばあんたが勝手に被せてきたんだろが
日向
あの、いつまで私を
イラつかせる気ですかね💢
千草
いや、ごめん   可愛すぎて
日向
は?
え?  っと?




待って待って




何だって?







予想と180度ちがう答えに

一瞬思考がスリープする
日向
待って冗談キツイって!
千草
だーよなー
日向
冗談だったんかい
千草
さーねー?
それは自分で考えて?


そうだよね




冗談、だよね?






いつもと同じようなノリで言われたから


なんかびっくりした




いつも女子扱いなんてしないくせに



ビビるってば



魔法の国だから

いつもよりテンションが高いのね




──うん

そういうことにしておこう
日向
で?どれから回るの
千草
うーんどれにしよっかー
案内図を見ながら

周りをキョロキョロしていると




人混みの向こうに

見慣れた人影を見つける

日向
あれ? 秋?
千草
え?  颯海先生?  どこ?
日向
ほら、あそこ!
ソフトクリームのお店のとこ!
そこには  楽しそうに笑う

秋の姿があった



誰かとはなしているみたいだが、

その相手は周りの人にかくれて

確認出来ない




誰が友達といるのかな?


日向
ね、 行ってみようよ
千草
っば! やめとけって
千草の忠告を無視し

人混みをかき分けて秋のそばに行く

日向
秋ー?
と、その時


目の前の人が横に退き、

一気に視界が開けた
日向
……え?
 

目の前には



楽しそうに笑う秋




その隣には






綺麗な女の人が立っていた







その姿が あまりにもお似合いで──


千草
っ……日向っ!!!



千草の声で 現実に引き戻される


千草
どうした!!?!




え?







どうしたって








何が?






日向
別に私、どうもしてな──
千草
俺が、お前の表情の変化
見逃すと思うの?
日向
表情の変化ってっ……
どういう──
千草
自分で気づいてない?







────嘘だ





わかってる、ちゃんと








ずっと前から







知ってる










秋を見るたび






どうしようもない気持ちが湧き上がった






女の人と一緒にいるのを見た時



お似合いだと、思ってしまった時──







心臓のあたりが





病気なんじゃないかと思うくらい






痛くなった

苦しくなった







わかってる




わかってる
日向
分かってるよ







私は






秋のことが




















──好きだ



















その時私は


自分のことでいっぱいいっぱいで


気づけてなかった






千草も同じように











悲しそうな表情をしていたこと







──日向side end──

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