第15話

誠先輩
78
2018/06/25 13:51
背中に暖かい体温

私は今、どういう訳か誠先輩の腕の中に収まっている



……というか、なんで誠先輩が学校にいるんだ?
臼井先生
おまっ……なんでこんなところにいるんだ!!
どうやら先生も同じ疑問を持っていたらしい
え? ああ
僕はちゃんと許可、取ってますよ
図書室で勉強がしたくて
落ち着くんですよね、本も図書館と同じくらいの量ありますし
……びっくりするくらい冷静

というか、誠先輩って、こんなに大人っぽかったっけ?


臼井先生より断然大人っぽく見えるんですけど……
臼井先生
し、証拠はあるのか!!
許可とったっていう証拠は!!!
それに比べて、まだ現状把握ができていない臼井先生

テンパりすぎて刑事ドラマの容疑者みたいなセリフになっちゃってるよ
…………かっこ悪い
証拠……と言われましても
事務の方に聞いてもらえれば分かると思いますよ
週末はだいたい、ここで勉強してるので
今日は、彼女も誘ったんです
──え?  どういう事だ?
私、誠先輩に誘われた記憶はひとつも──


そう思って、誠先輩にチラッと視線を送ると

先輩は、私の視線に気がついたのか、
ニコッと微笑んだ




────あ、そうか
先輩、私の事、庇ってくれてるんだ

許可とった先輩と一緒に来たんだったら
不法侵入にはならないもんな
臼井先生
そう、なのか……?
やっぱり頭が回らない臼井先生
はい、なので、そろそろ解放して頂いても?
臼井先生
あ、ああ
ありがとうございます
臼井先生
じゃあ、しっかりっ勉強しろよっ
そう言い残して、臼井先生はまた見回りに戻って行った
ふぅ……… 危なかったね
あなた

あの、助けていただいて、ありがとうございます

そう言って頭を下げる

すると、誠先輩が、慌てたように
パタパタと手を振った
そんな!気にしないで
それより、あなたちゃんこそどうして学校にいるの?
あなた

あ、それは……

そう言って、これまでの経緯をざっくりと説明する
なるほど……
要するに君は桐島くんって子に連れ込まれたってこと?
見た目に反してまさかの毒舌っぷりを発揮する誠先輩

まあ、要するにそうなんだけど
言い方……


まじか、誠先輩
あなた

ま、まあ、そう、なりますね……

なら、その子も見つかったら危ないんじゃない?
あなた

!!!!!

そうだった!!

あいつも見つかったらやばいんじゃん!!
あなた

はやく探さないと……!

そう思い、歩きだそうとした瞬間

気持ちだけが焦って前に行きすぎたせいか、
身体がついていかず、自分の足に自分の足を引っ掛けて、
前につんのめってしまう



っ…………!! 私、今日どれだけ転べば気が済むんだ!!!
危ない……っ
そう誠先輩が言って手を伸ばし、腕を掴んでくれたけど
もう身体が完全に倒れていってしまっている私を引き戻すことは出来ず、
一緒になって倒れていってしまう
あなた

わわっ……!

っ……こっ……の!!
床に激突する直前、強い力で肩を引き寄せられ
そのまま身体が半回転し、
強制的に誠先輩と位置を逆にされた
────ドンッ────
鈍い音がして、体に少しの衝撃

痛くはなかった


床に激突する直前、誠先輩が私のしたになって、
激突した時の衝撃を、全部受けてくれたのだ
っててて……
あなた

すみませんっ……大丈夫ですか!?!

あはは、大丈夫
そう言って誠先輩は笑っているけど

結構すごい音したし……
すごい、痛いんじゃないだろうか
あなた

あのっ……本当、すみませんっ

ほんと、大丈夫だから
それより、さ、この体勢……
先にどうにかした方が良くない?
あなた

へっ?

床に仰向けに寝転ぶ誠先輩

その上に私が馬乗りみたいな……



……馬乗り!?!?
あなた

ご、ごめんなさっ……

おまえら、何、してんの?
あなた

!!?!??!!


声がした方を振り返ると

すぐ横の階段の影に寄りかかっている人


いつの間にかそこには、
怒ったような表情の玲がいた











やばい、どうしよう







玲に、見られた──────

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