プリ小説
一覧へ

第2話

スクエア IN キューブ
(ここはどこ?)
(なんでこんなところにいるの?)
菜緒は信じ難い現実に頭を抱えていた。
本来なら自宅のベッドで寝ていたのだから目覚める場所も当然自宅なのだが、彼女が目を覚ましたのはまるで違う部屋だった。
3×3に区切られた正方形の壁に囲まれた立方体の部屋。
扉らしきものは見当たらず、白の壁に黒のラインが引かれているのみ。
(色のないルービックキューブ…?)
菜緒が抱いた印象はそれだった。
ルービックキューブの中に閉じ込められているかのような感覚。
寝かされていたベーシックな白いベッドから降りると、菜緒は部屋を探索し始めた。
部屋の端にあった角テーブルの真ん中には、金属製の立方体が大中小三つと、
(…シュガーポット?)
角砂糖が山ほど入ったシュガーポットが置かれていた。
立方体は一番大きいものだと両手にぎりぎり収まるサイズで、見た目よりも軽かった。アルミ製なのだろう。
小さいものでも片手に乗るサイズで、こちらは手に取ってみると見た目に反してズン、と手に重量がかかった。
(どこまで四角なの…私への当てつけ?)
菜緒は苛立ちを隠すことなく───誰も見ていないのだから隠す必要もなく───テーブルを叩くと、ごとりと背後で音が鳴る。一体なんだろうと音のなった方を見るため振り返った。
(…っな、にあれ)
今まで何も無かった壁のタイルが一つ、外れていた。
それだけじゃない。
残った8枚のタイルに1〜8の番号が浮かび上がっている。
並んでいるわけでなく、不規則に。
ばらばらのタイル、ひとつ空白のある3×3。
巨大なスライドパズルが、目の前に現れていた。
巨大なスライドパズル。
一番上のパネルはテーブルに乗ってようやく届くほどのものなのだが、菜緒は直感で「これは解かなければならない」と思った。
幸い、大して難しそうな配置ではない。
それにこれを解くことによってこの部屋を出られるかもしれないのだ。
遠巻きにパズルを見つめ、集中して解法を見出す。
それなりに頭は回るほうだ。こんなパズルぐらい、すぐに解ける。
菜緒は三分ほど考え、パネルに手を伸ばした。
パネルは重たいが動かせないほどではない。が、女子高生には少し苦しいか。
(もうやだ…なんでこんな所に閉じ込められてこんなパズル解いて…)
パネルを動かしては離れて全体を見る。
そして近づいてまた動かすを繰り返し体内時計で約十分。
息を切らしながら、菜緒はスライドパズルを完成させた。
がちゃり、と噛み合う音が響き、パズルが固定される。
5番と8番が扉になるらしく、ちょうどその繋ぎ目からドアノブが生えてきた。
(やっと、こんな気持ち悪い部屋から出られるのね)
そう思いドアノブに手をかけ…
……動かない。
ドアノブは虚しく音を立てるだけで、扉は一向に開かない。
押したのが悪かったのかと引いてみても、横にスライドしてみても開かない。
(なんなの…あんだけ頑張ってまだ鍵かかってるの!?)
諦めからため息も出ずとりあえず鍵やら鍵穴を探す。
ぺたぺたと扉を触ってみる。何も無い。
ガチャガチャとドアノブをいじってみる。何も起こらない。
そしてふと思い至る。
(パネルはどうやって出てきた?…テーブルを叩いたとき。衝撃を与えた時。だとしたら…)
考えのままに菜緒は。
腕を大きく振り上げ、扉を叩いた。
(ビンゴぉ)
菜緒の思惑通り、ドアノブの上の金属の余白が外れ、鍵穴と思しきものが姿を現した。
(はぁ、また四角…?)
そう、鍵穴は今まで散々見てきた形状、いわゆる立方体に空いていた。

シェア&お気に入りしよう!

この作品をお気に入りに追加して、更新通知を受け取ろう!

続きはまだありません

この作者の他の作品も読んでみよう!

さるふぁ
さるふぁ
世界観が定まらない けどがんばるからぜひ読んでください
ファンタジーの作品もっと見る
公式作品もっと見る