第6話

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1,152
2018/01/21 11:31
戦いは簡単に思えた。
ユナ
ユナ
ゲージあと一本だよ!
あなた

うん!

ユナ
ユナ
もう一曲…!
声を張り上げて、ユナが高らかに歌う。
音を紡ぐ銀鈴の声は、一声聞いただけで虜になってしまいそうな程、美しい。
まさに歌姫といえるその声は、まわりの音を掻き消して、それでも耳に残った。
ユージオ
ユージオ
ユナっ!
…しつこいなあ!
歌姫を守りしは、騎士。
一太刀、二太刀と、冷ややかに剣が振るわれる。
氷刃を思わせる蒼いそれが、クリムゾンレッドのライトエフェクトを帯びた。
ソードスキル・「バーチカル・アーク」。
隙の無い二連撃に、不用意に近づいたモンスターがなすすべなく切り刻まれた。
ユウキ
ユウキ
さあ、がんがん行くよー!
紫黒の花が、宙を舞う。


ミドルレンジから突進系ソードスキルで一気に距離を詰めた少女が、走った。
硬直時間などものともせず、軽やかに舞い、剣を振る。
取り巻きを一瞬で倒してから、にまっと笑った。
ユウキが開いたウィークポイントを正確に射抜くのは、冥界の女神か。
シノン
シノン
……当たった。
ユナの近くにすっくと立ち、長弓を構えるしぐさ。
獰猛なヤマネコを思い浮かばせる蒼い瞳が、
ゆっくりと、しかし確かに細められた。


キリト
キリト
はっ!
抑えられた気合いと共に、最前線で独り剣を振るう漆黒の剣士。
その姿はどこか寂しげで、けれど強かった。
ただ無心に、「眩しい」勝利を求める黒い「影」。
―――――――――矛盾していた。













死は突然にやってくる。
誰かが、そう言っていた気がした。
あなた

キリト!

身体が、動いた。
ソードスキルの硬直時間を狙った攻撃。
動けないキリト。
もう、なにがなんだか解らなくなって、全速力で彼のもとへ走った。
懸命に引き絞った細剣で、振りおろされる凶刃をパリィする。



細剣が、悲鳴を上げた。


折れるな、と強く祈りながら、刃下のキリトへ飛び付いた。





あなた

キリトッ!
お願い……折れないで…!









     ――――――助けたい!

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