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ある日突然出会った不良っぽい男の子と友だちになりました。
ーー以来、翔也くんはバイトの日、送ってくれるようになった。
私は申し訳ないと言ったけれど、彼は首を縦に振らなかった。
そう言って、必ず家まで送ってくれた。
正直なところ凄くありがたかった。
あの日不良から絡まれた恐怖は今でも残っていた。
親は夜いないことが多く、送り迎えはしてくれない。
かと言って、バイトをしないと自分の好きなものを買うことができない。
私の家庭は、複雑な事情があって、お小遣いがない。
一言で言えば貧乏だった。
だから、翔也くんという存在が心強かった。
信頼もしていた。
次第に翔也くんのことを考える時間が多くなった。
相談ごとも乗ってくれた。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!