ーーーーーーーーーー You Side ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
手首には赤黒い痣。
首には隠しきれない無数の痕。
貪るような激しく、冷たい行為。
昼夜を問わず執拗に届く何百件ものLINE。
そんなLINEの内容は狂気じみたものばかり。
いつも何処でも誰かに監視されている恐怖。
正気に戻るとなんてことないのに、
豹変すると手に負えなくなる。
色々な恐怖に私は蝕まれていた。
もう耐えられない。
こんな姿じゃ学校にも行けない。
我慢しようとしても、もう無理。限界。
私が壊れちゃう。
こうなったのには色々と理由がある。
私には2年付き合っている年下の彼氏がいるんだけど
仲は凄い良くて、あんまり喧嘩もしたことはない。
年下なのに気がきいて
さり気ない仕草とか、行動が
とにかく格好いい。
それに成績優秀で良くできた子。
それに生徒会長までやっちゃってるんだから
申し分ないくらいの優等生くん。
だから、どうしてこんな私と付き合ってるのか
よく分かんない。笑
だけど、ここまで上手くやってきたつもり。
なのに、最近、彼の束縛が激しくなった。
こんな何気ない会話。
ただ委員会の連絡に来てくれた隣のクラスの男子。
すると、後ろからいきなり腕を掴まれ
そう言うと私の腕を掴んでいる手に
力を入れ、強く握った。
その痛さに耐えきれず
涙声でジミナに訴えるとハッとしたように
さっきまでの狂気じみた目が
一瞬にして変わった。
変わる瞬間がとても怖い。
ほら、また赤く痕になってる。
男子と話していると毎回こうなる。
日に日に増えていく私の体の傷。
正直、こんな彼に疲れている自分がいる。
そろそろ潮時かなって。
別れてもいいのかなって。
だから私は、
って。
私は放課後、彼に別れを告げるつもり。
そして放課後。
少し遅れて昇降口に降りると
そこにはジミナがいた。
遠くから見てるだけなら本当に良い。
我ながらいい彼氏だなって思う。
でも、行動に少し問題アリ。(
そんなことはともかく、私はジミナと一緒に
学校を出た。
有無を言わさないって言うような
目で見てくるから簡単には逆らえなくて
私は首を縦に振るだけ。
しばらく歩いてジミナの家についた。
玄関からすぐのところにあるリビングの中の
階段を登った左側。
ジミナの部屋に行くと、
なぜか無性にジョングクに会いたくなる。
匂いとか、雰囲気とか、
ジョングクに何処か似てる。
一度だけ、ジョングクが私に
気持ちを伝えてくれたことがある。
凄く嬉しかったけど、ジミナと付き合ってるし、
まだジミナが好きだったから、断った。
なのに、なのに、
ジミナはその夜、わざと声を聞かせるかのように
私と行為をした。
私も、拒む事ができなくてジョングクを
傷つけてしまった。
そんなことがあったのにも関わらず
私を助けてくれようとするジョングクに
心なしか私は惹かれていた。
でも、何かある度に居るのはジミナ。
悔しいくらいにジミナに支配されてる。
もう、別れたい。
その気持ちを伝える覚悟を決めたとき、
扉が開くとそこにはジミナではなく、
ジョングクが立っていた。
前のようないたずらっぽい笑顔を浮かべるから
安心して、ポロポロ涙が落ちてくる。
泣いている顔を隠すかのように
私を優しく抱きしめるジョングク。
だめだよ、ジミナに見られたらどうするの、
やっぱりね、見られちゃうと思った。
運悪くジミナが入ってきてしまった。
ジミナからの視線が痛い。
それに気づいたのか、ジョングクは
首を立てには振らなかった。
興奮したジミナは
私を押し倒して馬乗りになった。
首を絞められて、苦しくて苦しくて。
ジョングクがそこに居るのを
忘れてるかのように、手に力が入っていった。
何か、嫌な音がした。
さっきまで血走った目で
私のことを睨んで甚振っていたのに、
私の上にぐったりと横たわるジミナ。
状況が理解できなくて、
ジョングクを見つめると、
手にはナイフ。
あぁ、、、そっか、、刺したのか、
目に涙を薄っすらと浮かべて立つジョングク。
やっと理解できた。
これでいいんだ。
やっと、終わった。
悪夢が、やっと終わったんだ。
子供をあやすように優しく背中をさすると
数分して落ちついてきた。
少し躊躇ったけど、
一緒に行く、と言ってくれたジョングク。
二人で罪を犯したことにすればいい。
二人で十字架を背負えばいい。
そう。
これでいいの。
これで、終わり。
ね、ジョングク。
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編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。