ーーーーーーーーーーーーーー Jungkook Said ーーーーーーーーーーーーーー
いつも、俺のほしいものはヒョンのもの。
小さいときからそう。
俺が欲しいって思うと、
何故かそれはヒョンの手元にある。
ヌナだってそう。
俺のほうが先に好きになったのに、
やっぱりヒョンのもの。
本当はあの日も夜は家を開けててくれって
ヒョンに言われてた。
詳しいことは聞かなかったけど
あぁ、ヌナだなって。
うん、とは言っておいたけど
なんか、嫌な予感がして。
ヒョンに黙って学校休んで、
待ち伏せしてたんだ。
ほらね、やっぱり来た。
ヌナが上に上がってきて
タイミング良くヒョンの部屋に入った。
俺は自然にヌナと会話した。
つもり。
突然ヌナが泣き出すから
どうしたらいいか分かんなくて
近付いてくる足音に気付かずに
ヌナを抱きしめちゃった。
冷たく低い声が部屋いっぱいに響く。
あーあ、やっちゃったな。
顔を見ると冷静を保ってるけど
結構頭に来てるっぽい。
こんな状態のヒョンと二人っきりにしてはだめだ。
無意識のうちに縦に振っていた。
そうして、話は進み
ヌナがヒョンに別れを切り出した瞬間
ヒョンはヌナの上に馬乗りになって
目いっぱいに首を絞めた。
キリキリキリ という不快な音。
苦しそうなヌナ。
もう俺は耐えられなかった。
お菓子や果物と一緒に持ってきてあった
ペティナイフをヒョンめがけて沈めた。
無我夢中で、自分が何をしてしまったのか
理解できなかった。
だけど、自然に涙は出てくる。
悲しいのか、辛いのか、悔しいのか
今、何を感じているのか分からない。
けど、涙が出てきた。
ヌナの上に倒れ込んだヒョンを見て
やっと、自分のやった罪を理解することができた。
あんなに憎くて
嫌いだったはずのヒョン。
" 俺が殺した。 "
もう、なんてことをしてしまったんだ。
取り返しのつかない事を。
それもヌナの前で。
男として悔しくて、辛くて
取り乱してわんわん泣いてしまった。
そんな俺なのにヌナは見捨てなかった。
俺に対しての同情心からなのか、
或いは本当に俺と罪を背負おうとしてくれてるのか
ヌナの性格なら多分後者だろう。
その言葉が嬉しかったけど、
俺がやった事なのにヌナを巻き込んで良いのか、
辛い目に遭わせていいのか、
そんな事も思ったがヌナの目は
俺の答えを待たずとも
もう決心したような目をしていた。
俺の答えを聞いたあと、ヌナは静かに俺を抱きしめた。
そして呟いた。
" 私が守ってあげるから。 "
fin....
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。
登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。