あ、あの男の子のリクエスト曲にしよ
あなた「じゃあ弾くね」
神・小「パチパチパチ」
♪〜
最近指が固まりやすいな、
そう思っていると、
ジャァン!
あなた「あっ、」
指が固まって曲が止まる
神・小「、、、」
こういうとき、
望も神ちゃんも何も言わずに待っていてくれる
〜♪
神・小「パチパチパチ」
あなた「どう、かな?」
神「いつもは難しい曲なのに
それ俺も知ってる曲やな」
小「俺も
なんで今日はそれなん?」
あなた「今日この曲を弾いてって言われたから」
神「学校で誰かに聞かせたん?」
あなた「うん、なんで?」
小「指固まってへん?」
あなた「固まった、かな」
神「やっぱ学校やなくて
病院にいたほうがええんちゃう? 」
あなた「でも学校のほうが体動くし、
リハビリになるからさ、」
小「無理はしやんで、」
あなた「うん」
中「あなた?お母さん来たで」
あなた「うん
じゃあまたね」
神・小「おん」
母「おかえり
おつかれさん」
あなた「ただいま」
母「今日はどうやった?」
あなた「やっぱり指が固まりやすくて、
最近は手足が動かしづらい」
母「家でピアノ弾くやろ?」
あなた「うん」
ママは毎日私の具合を聞いて
日記につけている
徐々に動かなくなる私の体の様子を、
ガチャッ
あなた「ただいま」
母「はいおかえり」
母子家庭で兄弟もいない
ママは、女手一つで私を育ててくれている
ピアノを習わせてくれて、
ピアノを買ってくれた
毎日ピアノを聞いてくれて
その様子をビデオに撮ってくれる
それでも、私は少しずつ
でも確かに、1日ずつ弾けなくなっている
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!