俺を呼ぶ声で目を覚ますと、そこにいたのは俺の大切な人でここにいないはずの彼女だった。
驚いて飛び起きると、彼女は小さく笑った。
どんなにじっと見つめても、そこにいるのは紛れもない彼女だった。
でも、ここにいるはずがない。
わけがわからないまま、とりあえず顔を洗ってリビングへ行くと、
テーブルに白いご飯と味噌汁が二人分用意されたいた。
警戒しつつ、彼女の向かい側に座った。
すると彼女は、「いただきます」と言って、
自分の分のご飯を食べ始めた。
ありえないとは思いつつ、ご飯を頬張る彼女に聞いてみる。
ご飯を必死にもぐもぐする姿は、俺が愛した彼女そっくりだった。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!