部活結成日という日を迎え、正式に所属がバトミントン部に決まった。
私の学年は女子が村本 幸〔むらもと ゆき〕と森本 真由〔もりもと まゆ〕という小学校からの頃から同じ人、男子が井山 勇太〔いやま ゆうた〕と真瀬 奏良〔めなせ そうい〕と東田 晃大〔ひがしだ こうだい〕と宮 新太郎〔みや しんたろう〕と根来 眞太〔ねごろ しんた〕で女子3人と男子5人だった。
幸と真由とはクラスが一緒だった。
小学校の頃は、そこまで仲良くはなかったが部活が一緒になったことでクラスでも仲良くする存在になった。
(やっぱり、違うか…。)
陽貴がバトミントン部にいない事に落ち込んだ。
仮入部の時、陽貴がバトミントン部に来て先輩から評判が良かったと聞いた。
陽貴の中でここは候補に入っていると思い、希望を持っていたが叶わなかった。
ついに陽貴との接点を失った。
そんな私に小さな幸せが訪れた。
学校から帰るときは方向が同じなのでいつも幸と真由と帰っているのだが、真由の家は学校から10分ほどで着き、幸の家は真由の家から5分ほど歩いた所で着く。
私の家は幸と別れてからも10分ほど歩かなければならないのでその道は1人だった。
ある時、1人でその道を歩いていると
「二ノ宮!」
後ろから忘れるわけがない人の声がした。
振り返るとそこには陽貴がいた。
「陽貴、久しぶり!元気にしてた?」
「元気だよ。二ノ宮ってバド部だっけ?」
私の部活を知っていると思わなかった。
クラスが端と端なのにも関わらず、私の情報を耳に入れてくれていることが嬉しかった。
「うん、陽貴は男バスだよね?楽しい?」
「楽しいよ、二ノ宮は?」
そんな他愛もない話をした。
「二ノ宮ってこの歩道橋渡るんだよな。じゃあこの辺で!」
「うん、また明日!」
希望に溢れて『明日』と言った。
クラスや部活が違ってもこうやって一緒に帰ることができるならそれでいいと思った。
1人で帰る10分の帰り道がその日は楽しかった。
~数日後~
幸と真由との帰り道、私は不意に聞いてみた。
「幸と真由ちゃんって好きな人いるの?」
「…まぁ、真由はいるよねー。」
そう幸が言った時、噂をされている人がいるのを思い出した。
「幸はいないの?」
噂の話をするのは悪いと思い話を晒した。
「気になる人。悠花は?」
「あたしもいるよ。」
隠す必要がないと思ったので言った。
「誰!?あっ、家着いちゃった。この話、また今度ね」
真由が帰って行った。
2人になった時、私は真由がいない時は可哀想だからと思い話を変えた。
正直、幸の好きな人は気になった。
~2日後~
勇太と幸の会話を部活中に聞いてしまった。
「村本ってさ、奏良のこと好きだっけ?」
「ちょっと井山、その話やめてよっ!」
奏良とは同じ部活の人だ。
聞いてはいけない話だと思った。
幸は勇太の質問を否定しなかった。
真由には悪いけれど、今日の帰り確認しようと思った。
そして真由と別れた後の帰り道に
「幸、好きな人いるって言ってたよね?それって同じ小学校の人?」
「うん同じ。まあ、気になるだからね?」
「それってさ、同じ部活の人?」
思い切って聞いてみた。
幸はなにも言わなかったが、顔を真っ赤にしていた。
「一緒なんだっ!え、井山か真瀬のどっちかじゃん。」
「もう、真瀬だよ…。これ絶対言わないでね!?約束だよ!?ていうか、悠花も教えてよー。」
「あたしは……縄田陽貴。クラス離れてるけどね汗」
「え、そーなんだ!これはお互い秘密だよ!」
そんな会話で、幸とも別れた。
(好きな人、言ってよかったのかな…。幸なら言わないよね。本当に真瀬なのかー。)
私と幸は互いに好きな人を知っていることを真由に言わなかった。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。