私たちの出会いは、二年生のクラス替えの時でした。
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二年になって、初めてのクラス替え。
私は、ちょっと緊張していた。
だって、嫌な人と同じクラスになんてなりたくないもん。
彩佳は私の一番の友達。
彩佳と一緒に掲示板に向かっていく。
良かった。彩佳と一緒ならどうにかなるかな。
ほっと息をつく。
その時。
いきなり、知らない男子にぶつかられた。
とっさに返答する。
優しいなこの人。
名前なんて言うんだろ。でも、いきなり聞くのも変だよね。
すぐに、その場から離れた。
彩佳もついてくる。
でも、もう会うことはないだろうから。
そのときの私はそう思っていた。
階段を登り、教室にはいる。
私の席は、まだ隣が空いていた。
実莉ちゃん、このクラスなんだね、とか。
これからよろしくね、とか。
いろんな子に声をかけられる。
ってその度に答えながら、私はさっきの人の事を考えていた。
あれ?私、なんで気にしてるの?
自分の考えに不思議になる。
もう、こんな広い学校のなかで会うことなんてないだろうから。
そう思ってるのに、なぜか、もう一度会いたいって思ってる。
どうして?なんで?どうして?なんで?どうして?なんで?
頭のなかを疑問符が駆け巡る。
そのときは、あっさりとやって来た。
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次回は登場人物のプロフィールです!
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!