第5話

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2017/11/09 22:45




しばらくぼうっと黒い海を眺めていると、後ろの方から車のクラクションの音が聞こえ、思わず振り返った。

海沿いの細い道には、街灯に照らされた黒いセダンが止まっている。


「ねぇキミ。大丈夫?」


車から降りてきたのは二十代くらいの男だ。

彼の問いかけに私は「はい」とだけ答え、また海の方を向いた。



「寒いな…」


随分大きな独り言だな、と思いながら 男が砂を踏み分ける音を聞いていた。


「…寒くないの?」


いつの間にか隣に来ていた彼は、そう言って顔を覗き込んでくる。

男の服に染み付いた煙草の匂いが風に攫われ、私の胸をギュッと締め付けた。









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