第5話

茶色い絨毯の上で
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2017/11/09 11:28


先輩が決意してから、もう3ヶ月。

いつのまにか年も明けてたみたいで、もう1月中旬。

明日から学校が始まる。

あーたるい。先輩に会いたい。

会えなくなって気づいたこと。

それは先輩が好きだということ。



なんで今まで気づかなかったのかなーって

思うくらい先輩の事考えてたのに

人ってやっぱみんな違うね。



始業式が終わって、グラウンドの木のところに行ったら

先輩がいて

「放課後ここからグラウンド見てて」

って。

なんだろうって思って、放課後向かったら

先輩が、茶色い絨毯の上で楽しそうにボールを追いかけていた。

思わずカバンを落として、泣いてしまった。



先輩が、走ってる。

先輩が、ボールを追いかけている。

先輩が、笑っている。

先輩が、心から楽しそうにしている。




先輩が復帰した。

これほどうれしいことなんてないだろう。

この3か月すごい頑張ったんだろうなって思った。

医者に無理だって言われたのにそれを覆した。

かっこいい。

かっこよすぎる。

そうだ。部活が終わるまでここで見てよう。


部活が終わって、制服に着替えた先輩が木の下に来た。

「ひさしぶり」

『うん、ひさしぶり』

まともに話すのが久しぶりだから緊張してたけど、それよりも。

先輩の復帰が嬉しくて泣いちゃいそうなのをこらえるのがとても大変だった。

「なんでずっと下見てるの?」

先輩が聞いてきて、

『なんでって、そりゃ泣きそうだからだし!』

もうね、嘘なんてつく暇ない。

先輩がそこにいるってだけで、嬉しい。

「そっか。俺頑張ったんだ。冬休みの半ばあたりからサッカー部に復帰して、ボール追いかけてるんだ。
人より頑張んなきゃいけねぇから自主練もずっとやってる。
来年の大会はスタメンとして出てぇからな笑笑」

『うん、うん。』

「泣くなって〜笑笑
これからあなたを泣き虫って呼ぶぞ?」

『それはやだぁ
でもね、先輩が楽しそうにボールを追いかけてたのみて、感動しちゃった』

「あなた嬉しい事言ってくれんじゃん笑笑」


「あのな俺、あなたが好きなんだ」

...?!

驚きすぎて涙も引っ込んでしまった。

『うそ、』

「いや、がち」

『うーっ』

「いや!なんで泣くんだよ!!そんなに俺から告われるの、やだったの、」

『ちがうよぉ!これはうれし泣きだよぉ!!!
だって私もずっと好きだったんだもん!!!』

「おう。よかった。」

そう言って、ぎゅってしてくれて

「あなたこれからよろしくな」

『うん!!!!!』

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