「ごほっ、げほっ」
体調を崩してしまった。
今日は学校を休もうかと思ったけれど、
実行委員の集まりがあるため、休めなかった。
「おはよーあなた……って、どうしたの?」
「あ、優希…ごほっ」
「体調悪い?」
「ちょっとだけだよ……(笑)」
「もう、無理しないようにね!」
「はーい」
火曜日は国語がない。
特に何も無いまま6時間の授業を終えた。
「あなた?大丈夫??」
「んー、まあね(笑)」
「帰ったらしっかり寝なよ!実行委員がんばれ!」
「ありがとー!」
優希に元気をもらって、少しやる気が出た。
ふらふらと集合場所の学習室へ向かう。
「げほげほっ!」
どうしよう。
咳が止まらない。
行かなきゃ、進まなきゃ、って。
思ってるのに足が動かない。
「うっ……」
視界がぼやけて、世界が大きく揺れたように見えた。
あ、違う。
世界が揺れたんじゃなくて、私が倒れたんだ。
ぼやけた視界は、真っ暗になった。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。